物流アウトソーシングで企業競争力を高める|
導入メリット・成功事例・パートナー選定のポイント

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物流アウトソーシングそと
 
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物流アウトソーシングとは:
人手不足時代に選ばれる経営効率化の仕組み

物流アウトソーシングとは、企業が自社で行っていた物流業務(入荷・検品・在庫管理・ピッキング・梱包・出荷・配送など)を、外部の専門業者に委託することを指します。従来は自社倉庫や社内スタッフで対応していた作業をアウトソースすることで、固定費の変動費化や物流品質・納期の安定化が実現できます。

 

近年はEC市場の拡大や個人消費の多頻度化によって、物流の「スピード」「品質」「柔軟性」が企業の競争力を左右する時代になりました。一方で、ドライバー不足や倉庫スタッフの採用難など、自社運営の限界が顕在化しています。

 

そのため、多くの企業が物流を経営課題として捉え、コア業務(商品企画・販売戦略)に集中するための経営施策として、物流アウトソーシングを導入しています。

 

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物流アウトソーシングの役割:
持続可能で強い物流体制を構築する経営の要

物流アウトソーシングの役割は、単に作業を委託することではなく、経営の土台となる物流基盤を強化することにあります。外部パートナーの専門性・ネットワーク・DX技術を取り入れることで、企業は「ヒト・モノ・システム」のバランスを最適化し、変化に強い物流構造を築けます。

 

たとえば、委託業者は繁閑対応力と業界横断的な知見を備えており、需要変動や季節波動にも柔軟に対応可能です。また、最新のWMS(倉庫管理システム)や物流DX技術を活用することで、誤出荷ゼロ・在庫差異ゼロといった高水準のオペレーションを実現し、供給体制の安定化にもつながります。

 

こうした仕組みは、限られた人員で運用する自社物流では実現が難しい領域です。物流アウトソーシングは単なるコスト削減策ではなく、人的・経営的リソースを再配分して組織全体の生産性を最大化する戦略的な経営手段として位置づけられています。

物流アウトソーシングの種類:3PLから5PLまでの進化

物流アウトソーシングには、委託範囲と役割の深さによって3PL・4PL・5PLという3つのレベルがあります。「どこまでを外部に委ね、どの範囲まで最適化を図るか」によって、サービスの形態と企業が得られる効果が大きく変わります。

① 3PL(Third Party Logistics)現場オペレーションの代行型モデル

倉庫・検品・出荷・配送など、物流業務そのものを専門業者が請け負う形態です。
自社倉庫や人員を持たずに、コスト削減・業務標準化・繁閑対応を実現できるのが特徴です。
多くの企業が最初に導入するアウトソーシング形態です。

② 4PL(Fourth Party Logistics)サプライチェーン設計・統括型モデル

3PLの上位に位置づけられ、4PL事業者が複数の物流委託先を統合的に管理し、サプライチェーン全体を最適化する形態です。発注企業の代わりに、外部の専門パートナーが経営視点で物流ネットワークを再設計し、KPI・コスト・リードタイムをトータルで管理します。

③ 5PL(Fifth Party Logistics)テクノロジー統合・デジタル最適化モデル

AI・IoT・自動倉庫などのテクノロジーを駆使し、データに基づいて供給網をリアルタイムに最適化します。クラウドWMSとデータ解析を活用し、在庫配置・需要変動・配送効率をリアルタイムで最適化。これにより、EC・卸・店舗を横断するマルチチャネル物流や、ブランド・国境を越えた柔軟な供給網の構築が可能になります。

補足:契約形態の違い定額型とカスタム型

物流アウトソーシングの契約方式は、大きく「定額型」と「カスタム型」に分かれます。
業務内容の変動性やブランド戦略に応じて、最適な形を選ぶことが重要です。

 

「定額型」は、あらかじめ業務範囲を定め、月額や年額などの固定料金で委託する方式です。
入庫・保管・出荷・返品処理といった基本業務を一律料金で委託でき、コストが安定しやすいのが特徴です。荷量が安定しているメーカーや卸売業など、定常的な出荷を行うBtoB企業に適しています。一方、販促や商品変更に伴う作業内容の増減には柔軟に対応しにくい面があります。

 

「カスタム型」は、商材特性や販売戦略に合わせて物流フローを柔軟に設計する方式です。
検品・同梱・ギフトラッピング・流通加工などを単価ベースで構築でき、セール対応やギフト施策など多様な販促にも即応できるのが特徴です。機動的に販売戦略を実行したい企業や、リードタイム短縮・品質強化を両立したい企業に最適です。
ただし、導入時には工程設計や運用調整に一定のコストが発生します。

物流アウトソーシングのメリット:効率と品質を両立させる4つの効果

物流アウトソーシングを導入する最大のメリットは、物流の専門知識を持つ外部パートナーに業務を任せられることです。

 

これにより、採用・教育コストの削減や業務効率化を図りながら、企画・販売といったコア業務に経営資源を集中できます。以下では、物流アウトソーシングによって得られる4つの主要な効果を紹介します。

物流業務アウトソーシングの作業風景

① コア業務に経営資源を集中できる

物流業務を専門業者に委託することで、企画・販売・顧客対応などの中核業務に人員と時間を集中できます。物流人材の採用・教育・人員配置といったマネジメントの負担が減り、経営資源をより戦略的に再配分することが可能になります。

 

また、物流会社によっては入出荷や保管に加えて受注管理やコールセンター業務まで包括的に代行(フルフィルメント対応)できる場合もあります。特にEC企業では、注文対応・クレーム処理・在庫確認といった日次業務を外部委託することで、経営スピードの向上が期待できます。

② 物流品質が向上する

② 物流品質の向上とクレームリスクの低減

たった1件の誤出荷が、ブランドの信頼を損なうこともあります。専門業者に委託することで、検品・出荷・送り状発行といった工程の標準化・システム化が徹底され、ミスの発生を抑制できます。

 

たとえば、百貨店や量販店では、EDI入力・専用伝票・専用タグの取り付けなど、独自の納品ルールが細かく定められています。これらの条件を満たせなければ、商品を受け入れてもらえません。また、AmazonなどのECモールでは、出荷遅延率や誤出荷率が一定基準を超えると販売停止措置が取られることもあり、品質管理は取引継続の生命線です。

 

さらに、EC販売ではクレームが直接ブランドに届くため、誤出荷や遅延が続くと、SNS上での評判悪化やカスタマーサポートの負担増加を招きます。

 

物流現場がクレーム対応に追われ、社員の精神的疲弊や離職リスクが高まるケースも少なくありません。
だからこそ、誤出荷を減らすことは単なるオペレーション改善ではなく、企業の持続的成長を支える経営戦略の一環として求められています。

③ 固定費を変動費化し、コストを削減

③ 固定費の変動費化による経営効率化

自社で物流を運営する場合、人件費・倉庫費用・設備投資といった固定費が常に発生します。

しかし、物流アウトソーシングを導入することで、出荷量や保管量に応じてコストを変動費化できます。

 

さらに、多くの物流事業者は作業工程を徹底的に単純化・標準化することで、正社員中心だった作業をパート・アルバイトスタッフへと再設計しています。これにより、変動費そのものを抑えつつ、安定した品質を維持する仕組みが確立されています。

 

また、マテハン機器やWMS(倉庫管理システム)などへの大規模な初期投資を抑えられるのも、物流アウトソーシングの大きなメリットです。これらの設備やシステムは基本的に物流事業者が導入・運用を担うため、委託企業は自社での設備購入や保守負担を最小限にしながら、最新の仕組みを活用できます。

 

仮にマテハン機器やWMSが陳腐化しても、減損や改修コストを自社で抱える必要はなく、リスクを抑えつつ経営をスリム化できるのも特徴です。

責任の所在が明確に

④ 責任範囲の明確化と業務可視化

自社物流では、調達・製造・販売・システムなど複数の部門が物流に関与しており、遅延やトラブルが発生しても、どこが原因なのか、どこにボトルネックがあるのかを特定しづらいことがよくあります。その結果、対応が後手に回り、再発防止策を講じづらいという課題を抱えがちです。

 

物流アウトソーシングを導入することで、社内・外注先・運送会社の責任区分が明確化され、問題発生時に原因を迅速に特定できます。

 

さらに、各工程がWMS(倉庫管理システム)上でデータ化され、契約単位でコスト構造が明確になることで、業務ごとのコストや作業負荷を可視化できます。これにより、改善サイクルを回しながら、経営戦略と連動した“見える物流”体制を構築できます。

物流アウトソーシングのデメリット:導入前に押さえるべき2つの注意点

物流アウトソーシングはとても便利なサービスですが、導入する前に知っておきたいデメリットもあります。ここでは2つのデメリットを紹介させていただきます。

① 物流ノウハウが自社内に蓄積しづらい

物流を外部に委託すると、日々の運用ノウハウや改善サイクルが自社に残りにくくなるという課題があります。現場で発生する小さなトラブルや改善事例は、委託後はすべてアウトソーシング側で処理されるため、自社に経験や知見が蓄積されづらいのです。

 

そのため、アウトソーシング導入後も、定例の報告会やKPI共有、マニュアル整備を通じて、外部で得られた知見を社内にフィードバックする仕組みを整えることが欠かせません。

 

たとえば、販売施策に合わせて倉庫レイアウトや出荷順序を変更した際に、「出荷リードタイムが短縮したのか」「返品率がどう変化したのか」といった結果を検証・共有することで、経営は在庫戦略や販促スケジュールをより精度高く見直すことができます。

 


委託先の改善結果を定量的に把握できれば、次の投資判断や組織設計にも反映でき、意思決定のスピードと質が向上します。こうしたフィードバック体制を密に築くことで、「任せて終わり」ではなく、自社の物流戦略を継続的に成長させる“パートナー型アウトソーシング”を実現することも可能です。

② 契約で定められた範囲以外の業務に対応してもらえない

物流アウトソーシングでは、契約で定められた範囲以外の業務に柔軟に対応できない場合があります。
たとえば、
「取扱い商材を急遽増やして客単価を上げたい」
「新商品の投入スピードを予定より早め、優良顧客の満足度を高めたい」
「在庫を圧縮するため、価格を動的に変更して売り切りたい」といった経営方針に対して、委託先が“契約範囲外”として対応を断るケースもあります。

 

また、メディア露出による需要増で急に在庫を積み増したい局面や、販促キャンペーン・繁忙期に伴って出荷量が急増する場面でも、「祝日は対応不可」「1日の入出荷量に上限あり」といった運用制限が設定されている場合があります。

 

契約前の段階で、柔軟対応の範囲・リードタイム・追加費用の有無をあらかじめ確認し、対応できない場合の代替策や調整ルールを明確にしておくことが重要です。こうした準備をしておくことで、「やりたい施策ができない」「販売機会を逃す」といった事態を防ぎ、経営判断を機動的に実行できる体制を維持することが可能です。

物流アウトソーシング会社選びのポイント:失敗しないための4つの基準

物流アウトソーシング会社は数多く存在しますが、場所や価格だけで選ぶと、導入後に出荷遅延や柔軟対応の制限など、思わぬトラブルが生じるケースがあります。
ここでは、長期的に成果を出せるパートナーを見極めるための4つの選定基準を紹介します。

好条件の立地

① 倉庫の立地

物流では、倉庫の立地が最も重要な条件のひとつです。立地が悪ければ、輸送コストの増加やリードタイムの遅延など、物流全体の効率に大きな影響が及びます。
輸送コストの削減を考える場合は、高速ICや主要配送会社の集配拠点に近いエリアに倉庫があるかを必ず確認しましょう。

 

立地が良ければ、トラックの集荷・積み込みがスムーズになり、配送リードタイムの短縮や運賃交渉の面でも優位に立てます。さらに、物流業界全体で人手不足が深刻化するなか、労働人口の多い都市近郊や通勤利便性の高い立地を確保できるかどうかが、人員の安定稼働を左右します。

 

三協では、こうした条件をすべて満たした「コストパフォーマンスと人材安定性を両立する物流拠点」を関西エリアに8拠点展開。大阪市から30分圏内という交通利便性を確保しながら、他倉庫と比較しても低コストな料金体系を実現しています。
これにより、輸送効率・人員確保・コスト最適化の三要素を同時に満たす運用体制を構築しています。

許可書

② 自社の商品を取り扱えるか

商材の種類によっては、保管や流通加工に特定の許認可が必要となる場合があります。
そのため、物流会社を選定する際は、「自社と同業・類似商材の取扱実績があるか」を必ず確認することが重要です。

 

たとえば、化粧品の場合は薬機法に基づく「化粧品製造業」や「医薬部外品製造業」の許可が必須です。

 

一方で、食品や医療機器などでは、温度帯管理やロット・消費期限のトレーサビリティ管理が求められます。アパレルでは、サイズ・色番・SKUごとの在庫精度や、季節変動に対応した保管レイアウトの最適化など、商材特性に応じた専門的な運用体制が必要です。

 

三協では、これらの条件をすべて満たし、許可証の取得だけでなく温度管理・ロット管理・トレーサビリティ運用まで一貫して対応。化粧品・アパレル・食品・医療機器・和雑貨・ネイル商材など、高い専門性が求められる製品でも安全かつ法令遵守の物流運用を実現しています。

出荷制限の有無

③ 出荷制限の有無

物流業者によっては、セール期間や繁忙期に出荷制限を設ける場合があります。在庫が倉庫にあっても出荷が滞れば、顧客体験の悪化や販売機会の損失に直結します。

 

特にECモール(楽天市場・Amazonなど)では、出荷遅延率が4%を超えるとアカウント停止リスクがあるため、契約前に「繁忙期・キャンペーン時の出荷制限や対応条件」を必ず確認しておくことが重要です。

 

三協では、繁忙期や大型セール期でも出荷制限を一切設けず、即日出荷に柔軟対応しています。
実例として、中国の大型ECセール「独身の日(光棍節)」では、通常時の100倍を超える1日3万件以上の注文を、未出荷ゼロ・誤出荷ゼロで完遂しております。

 

また、Qoo10メガ割や楽天スーパーセールといった他の大型ECセールでも、一度の例外もなく全ての注文を出荷完了しています。出荷波動の激しいEC市場においても、“止まらない物流”を実現できる安定運用と即応力こそが、三協の最大の強みです。

サービス内容の充実さを表現

④ サービス内容の充実さ

委託する物流会社によって、対応できる業務範囲や柔軟性は大きく異なります。

 

たとえば、BtoB(百貨店・量販店)では、専用タグ・伝票・独自システム(EDI・VANなど)への対応力が不可欠です。一方、BtoC(ネットショップ)では、クーポン・チラシ・ノベルティの封入など、販促施策に合わせて柔軟に対応できる体制が求められます。

 

こうした柔軟性が欠けると、経営戦略に対して物流がボトルネックとなり、「やりたい施策が実行できない」「販売機会を逃す」といった事態を招きかねません。

 

かといって、無理にアナログ対応を行えば、誤出荷やクレームにつながるリスクもあります。
だからこそ、これからの物流には“デジタル制御による柔軟性”が欠かせません。

 


柔軟性のある物流アウトソーシング先を見極めるには、WMS(倉庫管理システム)の対応力やカスタム設計の柔軟さを比較・検証することが重要です。

 

三協では、独自開発のWMSを「カスタマイズ前提の構造」で導入しており、各企業の取扱い商材や販売戦略に合わせたゼロベース設計が可能です。システム連携から、梱包パターンや同梱物の組み合わせ対応、輸送手段の切り替えまで、すべてを“課題解決型物流”として構築し、変化の多い市場環境にも柔軟に対応しています。

 

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物流アウトソーシングで任せられる主な5つの業務|
委託範囲と対応事例を紹介

企業の業種や販売チャネルによって“あるべき物流の形”はさまざまですが、多くの企業に共通してアウトソーシングできる主な業務は、次の5つに整理できます。

入荷検品

① 入荷・検品

仕入先や製造元から届いた商品を受け取り、品番・数量・状態を確認する工程です。納品予定との照合、外装や破損のチェックを行い、検品結果をシステムへ登録します。近年は、バーコードやQRコードを用いたデジタル検品による誤出荷防止が主流です。

 

ただし、全数検品にするのか、ケース単位にとどめるのかによって、作業コストやリードタイムは大きく変わります。この判断は、現場オペレーションだけでなく、「精緻さ」と「コスト」のバランスを取る経営判断に関わるため、物流委託先とのすり合わせが欠かせません。

 

委託することで、入荷スピードの向上や人件費削減が見込めますが、検品精度が低いと誤出荷や在庫差異の原因になるため、入荷工程のデジタル化とチェック体制を持つ業者を選ぶことが重要です。

保管スペース・保管場所・在庫管理

② 保管・在庫管理

商品特性に応じた温度帯や棚割りで保管し、適正在庫を維持します。
在庫管理を外部に委託することで、保管スペースの最適化や在庫回転率の改善といった効果が期待できます。

 

一方で、ロケーション管理(固定/フリー)や倉庫レイアウトの設計力によって、保管効率や作業生産性には大きな差が生まれます。自社の商材特性や出荷頻度に対して、最適な保管設計になっているかを定期的に検証(答え合わせ)することが重要です。

 

WMS(倉庫管理システム)などのデジタル管理を徹底している物流アウトソーシング先であれば、在庫のリアルタイム可視化・先入れ先出し(FIFO)・ロットや賞味期限単位の精緻な管理にも対応できます。

 


また、荷動きの遅い在庫(デッドストック)や保管スペースの非効率な利用は経営リスクにつながります。WMS上のデータをもとに、SKU数・在庫回転率・滞留在庫を定期的に可視化・報告できる体制を整え、経営層がそのレポートをもとに保管コストや在庫戦略を見直すことが重要です。

ピッキング

③ 帳票発行とピッキング

まず、帳票発行では、WMS(倉庫管理システム)上でピッキングリスト・納品書・送り状・加工指示書を正確に自動生成します。商品の誤出荷だけでなく、納品書や送り状の取り違えによる情報漏えいも大きなリスクです。

 


BtoBでは単価や取引条件が他社に漏れる可能性があり、BtoCでは個人情報流出やクレームに直結します。したがって、帳票発行の正確性とデータ管理の堅牢性は、信頼性を支える要の工程といえます。

 

ピッキングでは、バーコードやQRコードによるデジタル制御に加え、タブレットや音声指示(ボイスピッキング)を活用することで、人の経験や勘に頼らず、正確かつ効率的な作業を実現できます。こうした仕組みにより、繁忙期など出荷量が急増する局面でも、応援スタッフを含めた体制で精度を維持しながら安定したピッキングを行うことが可能です。

④ 出荷検品・流通加工・梱包

④ 出荷検品・流通加工・梱包

出荷検品では、WMS(倉庫管理システム)上で商品・納品書・送り状を紐づける設計がされているかどうかが極めて重要です。システム上で「商品・帳票・送り状の自動照合」が行える仕組みがあれば、人為的な確認ミスをほぼゼロに抑え、誤出荷ゼロの運用体制を実現できます。

 

流通加工(ノベルティ同梱・ギフト包装・ラッピングなど)の領域では、人の丁寧な作業が欠かせません。加工指示書がWMSから正確に出力され、工程がデジタルで統制されているからこそ、作業者は材料の取り違えなどのヒューマンエラーから解放され、「美しい包装」「丁寧なラッピング」など感性が求められる部分に集中できます。

 

ブランドの世界観を体現する物流対応ができるかどうかは、企業のブランディング戦略そのものといえます。つまり、デジタル制御による正確性と、人の感性による付加価値の両立こそが、ブランド価値を高める物流の在り方です。

 

一方で、梱包は物流コスト構造の中核です。配送コストは物流コスト全体の約半分を占めるとされ、梱包サイズが1ランク上がるだけで運賃が大きく変動します。そのため、適正なサイズ設計や、サイズ・エリア別に最適ルートを自動算出できる仕組みを備えた物流会社を選定することが経営戦略上も欠かすことはできません。

 

こうした仕組みを持つパートナーであれば、ブランド体験とコスト最適化を両立する“戦略的な物流アウトソーシング”が実現できるでしょう。

返品・たたみ直し作業

⑤ 返品処理

返品処理では、商品状態の確認・再販売可否の判断・在庫計上までをスピーディに行うことが重要です。対応が遅れると再販機会を逃し、在庫滞留やキャッシュフローの悪化につながります。

 

特にEC販売では、「返品のしやすさ」が購買意欲やブランド評価に直結するため、柔軟な返品受付と迅速な再発送体制を持つ物流業者を選ぶことが、顧客満足度を高める鍵となります。
また、返品対応を外部に委託することで、再販可能品の再入庫や検品を効率化し、在庫回転率の改善が期待できます。

 

またBtoB領域でも、百貨店や量販店などから季節商品の返品が発生します。これをECチャネルで即時再販できる体制(オムニチャネル運用)を構築することが、販売機会の最大化につながります。つまり、返品処理のスピード=売上機会の再創出スピードと言えます。

 

さらに、返品情報をリアルタイムで在庫管理システムへ反映できる仕組みがあれば、現場では「どこに・いくつ・どんな状態の在庫があるか」を即座に把握でき、正確な在庫引き当て・取り置き・再販指示が可能になります。

 

経営層にとっても、在庫の偏りや滞留を早期に察知し、販売・調達の意思決定を迅速に行えるというメリットがあります。返品を単なる「コスト」としてではなく、「販売機会を取り戻す戦略領域」として設計することが、これからの物流アウトソーシングに求められる視点です。

 
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物流アウトソーシング導入の流れ:
スムーズに委託を進める4つのステップ

ここまで、物流アウトソーシングの仕組みやメリット、委託できる業務内容について解説してきました。では実際に導入を進める際、どのような手順で進めればスムーズに立ち上げられるのでしょうか。以下では、失敗しない物流アウトソーシング導入の4ステップを紹介します。

① 自社物流の課題を整理する

まずは自社の物流課題を正確に把握します。

入出荷フロー、在庫精度、保管コスト、人件費などを洗い出し、どの工程を外部化すべきかを明確にします。この段階で現場担当者と経営層の認識をすり合わせておくことで、後のトラブル防止にもつながります。

② 見積・提案を複数社に依頼する

次に、複数の物流会社へ見積を依頼し、条件を比較します。金額だけでなく、対応範囲(BtoB/BtoC)・システム連携力(基幹システム/OMS/WMS)・繁閑差対応力などを評価ポイントに加えましょう。

 

特に「どこまで自動化・効率化できるか」は、長期的なコスト最適化の鍵です。
また、取扱商材の特性(コスメ/アパレル/医療機器など)にどこまで精通しているかも重要な比較軸になります。

③ 倉庫見学・システム確認を実施する

現場を見ずに契約するのは避けるべきです。実際の倉庫を見学し、WMS(倉庫管理システム)の運用実態や検品・ピッキングの精度を確認します。
このとき、
・繁忙期の処理能力
・イレギュラー対応の仕組み
・倉庫内の安全・衛生管理状況
などを具体的に質問すると、各社の実力差が明確に見えてきます。

 

また、外に何気なく出ているパレットの整頓状況や仕分け中の商品などは事前準備できないため、現場の「素の実力」が出やすいポイントです。さらに、もし可能であれば、同じ物流倉庫を利用している荷主に話を聞かせてもらうことも有効です。本当に自信があれば応じてくれるでしょう。

④ 契約・導入準備と移行テスト

契約後は、初期データの連携・SKU登録・作業手順書のすり合わせを行い、続いてシステムやデータの整合性を確認する移行テストを実施します。

その後、実際の出荷業務を想定した試験稼働(パイロット運用)を経て、本番稼働へ移行します。

 

導入時には、次の点を確認しておきましょう。

・移行テスト(システム検証)で発生した課題を一緒に解決してくれるか

・試験稼働期間を十分に設け、実運用に近い形で検証できるか

・イレギュラー発生時の対応フローが明文化されているか

 

また、契約書には費用体系・契約期間・トラブル発生時の対応プロセスを明文化しておくことが不可欠です。移行テストで不具合が出ること自体は問題ではなく、課題を共有し解決へ導いてくれるパートナーかどうかが最大の判断ポイントです。

物流アウトソーシング導入の成功事例

三協では、さまざまな業種のお客様に物流アウトソーシングをご利用いただいています。
以下では、①レディースアパレル(ワンピース・アウター・小物)②靴(パンプス/ブーツ)③スキンケア/ベースメイク商材の3つの事例をご紹介します。
いずれの企業様も、「誤出荷ゼロ」「出荷スピード向上」「ブランド価値の向上」といった成果を実現しています。

インターナショナルスワングループ様来社記念写真

① 物流アウトソーシング導入で「モール数12倍・売上10倍超」(インターナショナルスワングループ様)

【導入前の課題】
自社物流の限界により、繁忙期には出荷遅延や誤出荷が頻発。それに伴うクレーム対応や交換処理が増加し、現場への負担が大きくなっていました。

 

また、ECカートシステムと受注管理システムの連携が煩雑化し、商品登録や在庫連携がスムーズにいかないなど、新しいECモールへの出店拡大が思うように進まなくなっていました。

 

【導入後の効果】
物流アウトソーシングの導入により、当初は楽天のみの出店でしたが、現在では20を超えるECモールに展開し、出荷件数は年間約2万件から約25万件へと大幅に増加しました。

 

また、取引開始から10年以上にわたり誤出荷ゼロを継続。土日祝の出荷体制も整備し、楽天の「最強翌日配送ラベル」やYahoo!ショッピングの「優良配送ラベル」を取得しています。

 

誤出荷が発生しない体制を構築したことで、クレーム対応に費やしていた時間を商品企画や販売施策に充てられるようになり、結果として、同社は毎年着実に売上を伸ばし続けています。

 

詳しくはこちら ▶︎ 物流アウトソーシング導入で「モール数12倍・売上10倍超」

HILLS AVENUEのブランドシューズを展示する店舗ディスプレイ

② 物流アウトソーシング導入で「誤出荷・未出荷・在庫差異ゼロ」(PRAIA inc.様)

【導入前の課題】
繁忙期と閑散期で出荷件数が10倍以上変動し、保管スペースや人員のコントロールが難しい状況でした。アナログ作業が多く、出荷制限が常態化。せっかくEC販売で注文が増えても、出荷完了までに2〜3日を要することがあり、キャンセル率の上昇が課題となっていました。

 

また、百貨店での催事販売は反響が大きい一方で、返品処理に時間がかかるため、同時開催や短期間での連続開催が難しい状況でした。
在庫差異も多く、店舗スタッフがお客様から在庫状況を聞かれても、確認に時間がかかるなど、販売機会を逃す場面も発生していました。

 

こうした課題により、物流がボトルネックとなり、販売戦略や新規施策の展開に大きな制約を抱えていました。

 

【導入後の効果】
アウトソーシング後は、倉庫レイアウトの最適化と保管効率の向上により、年間1,000万円のコスト削減を達成。WMS(倉庫管理システム)によるシステム制御を徹底することで、誤出荷や未出荷は完全になくなりました。

導入から1年後に実施した初回棚卸では、約4,500SKU・約24,000点すべてのアイテムで在庫差異ゼロを記録しています。また、楽天スーパーセールなどの大規模セール期間においても、当日出荷できる体制を確立しました。

 

さらに、返品入庫も即日棚入れできる仕組みを整備し、同社の経営課題となっていた百貨店催事の同時開催も実現。直近でも4つの百貨店での同時開催を実施、販売機会の最大化に貢献しました。

 

店舗スタッフはタブレットでリアルタイムに在庫を確認できるようになり、店舗とECの在庫共有を実現。倉庫に確認することなく販売可否を即答できるようになり、オムニチャネル販売の推進と顧客満足度の向上を両立しています。

 

詳しくはこちら ▶︎ 物流アウトソーシング導入で「誤出荷・未出荷・在庫差異ゼロ」

福井様

③ 化粧品物流アウトソーシングで「ブランドの世界観を伝える」(株式会社Excess Beauty様)

【導入前の課題】
出荷量の増加により、手作業での梱包・発送では誤出荷や在庫管理ミスが発生。
こだわり抜いて作った化粧品なのに、物流が足を引っ張っている状態でした。

 

ブランドの世界観に浸ってもらえるような、上質で洗練された梱包やギフトラッピングを目指す一方で、アナログ作業中心の工程では時間が足りず、品質とスピードの両立が難しいというジレンマを抱えていました。

 

【導入後の効果】
アウトソーシング後は、コスメ物流向けに最適化したWMS(倉庫管理システム)によって、誤出荷ゼロを達成しております。

 

また、約20回にわたる打ち合わせとフィードバックを通じて、
「リボンの配置位置」「飾りタグの種類や枚数」「緩衝材の膨らませ具合」など、
細部にわたって現場で改良を重ねることで、上質で洗練された梱包・ラッピングが実現できました。

 

同社には、「開梱した瞬間、ブランドのこだわりが伝わってきた」というエンドユーザー様の声が多数寄せられるようになっており、リピート購入やファン層の拡大にもつながっています。

 

詳しくはこちら ▶︎ 化粧品物流アウトソーシングで「ブランドの世界観を伝える」

物流アウトソーシングで企業競争力と成長戦略を加速

物流アウトソーシングは、単なるコスト削減策ではなく、本業(コア業務)への人材・資金の戦略的集中や、企業全体の収益力アップに直結する手段です。

 


実際、多くの企業がアウトソーシング導入を機に「物流コストの適正化/成長フェーズ対応/誤出荷ゼロ・CS向上」といった確かな成果を上げています。

 

自社の物流体制を見直し、“変化に強い組織づくり・新たな販売チャネル展開・人材最適配置”など、次の一手を考えている方は、ぜひ一度プロの視点でご相談ください。

 

三協は数多くの事業者様の経営変革をサポートしてきた実績があり、

【物流品質向上×コスト圧縮×人材・DX強化】をワンストップでご提案可能です。

 

物流アウトソーシングについて詳しくはこちら