EC物流代行サービスとは?利用するメリット・デメリット 業者選びのポイントを解説!

買い物をインターネットで行うことは今や当たり前となり、物販系分野のEC売上は年々向上しています。事実、経済産業省が発表した資料によれば、物販系分野のBtoC-ECの市場規模は、2019年が10兆515億円、2020年が12兆2,333億円、そして2021年が13兆2,865億円と右肩上がりに伸びていることがわかります。この傾向は同市場調査の始まった2013年から変わらず続いており、今後も引き続き伸長していくことが予想されます。

参照:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省

 

そんな中、物流が円滑に動いていない企業にとっては、日々増大するEC需要に応えることは容易ではありません。一連の物流作業を自社でまかなうには相応のリソースやコストがかかるため、物流代行業者にアウトソーシングするのも1つの方法です。しかし、物流代行の詳細がわからず、なかなか依頼に踏み切れずにいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、物流代行を利用することで得られるメリットや注意したいデメリット、業者を選ぶ際のポイントについて詳しく解説していきます。

自社の物流業務をアウトソーシングすべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

物流代行とは?

「物流代行」とは、入庫から在庫管理、出荷に至るまで、商品が顧客のもとに届くまでの物流業務を代行してくれるサービスのことです。別の言葉で「物流アウトソーシング」と呼ばれる場合もあります。

近年のEC市場のニーズ拡大に伴い、物流業務の重要性が高まった結果、自社で担うより専門業者に任せた方が品質面・効率面ともに改善されるケースが多く、物流代行を利用する企業が増えています。また、保管効率や作業の生産性が改善されることによって物流費を圧縮できるケースも少なくありません。

物流代行で任せられる業務範囲とは?

物流代行で任せられる業務範囲は多岐にわたりますが、一般的に以下の業務が委託可能です。

・入荷、検品、保管、ピッキング、流通加工、梱包、出荷、送り状番号との連携や運送会社との交渉、受注管理やコールセンター、返品、交換の処理

 

①倉庫内の作業までを代行するケース②運送業者の手配や顧客の手元に荷物が届くまで含めた物流業務全体を代行するケース③さらに決済業務や受注管理、コールセンターなども含めて対応するケースなど、依頼する業者によって外交可能な業務範囲が異なります。

そのため、自社のニーズに合った代行業者が選べるよう、事前にサービスの詳細を確認しておくことが重要です。

物流代行を利用するメリット

物流代行サービスを利用することで、EC企業は数多くのメリットを得られます。

ここでは、代表的な4つのメリットについて、確認していきましょう。

物流の課題

ここではEC物流でよくある課題「作業ミスの発生」「人手不足」「コストの増加」について話します。

作業ミスの発生

在庫管理が複雑になるほど、棚卸が大変、在庫が合わないなどのトラブルにつながりやすいです。EC物流の各工程(保管・ピッキング・検品・出荷)におけるミスは、売上に大きく影響します。

人手不足

ECサイトにも繁忙期と閑散期があります。繁忙期と閑散期によって適切な人材の量は異なり、つねに適切な人材を確保するのは難しいです。

コストの増加

EC事業に必要な物流業務を構築するためには、以下のコストが発生します。
・物流倉庫で働くスタッフの人件費
・倉庫の土地代や賃料
・在庫管理のための備品や設備の費用
・配送トラックの車両代や燃料費 など

メリット①:コア業務に自社リソースをまわせる

物流代行を利用する最大のメリットは、自社リソースをコア業務にまわせる点です。

EC運営において、顧客に届ける商品を扱う物流は確かに重要な業務です。しかし、物流業務はノウハウの蓄積(在庫管理に関する知見や物流システムに関するIT知識など)に膨大な時間が掛かってしまうことに加え、そもそも物流業務がしたくてその企業に入社するという人材も少ないため、自社物流を強化することは構造的に難しいと言えます。逆に、「営業や接客が得意なスタッフ」に本人の希望とは裏腹に物流業務も任せていたためにモチベーションが低下するケースもあります。慢性的な人手不足が叫ばれている昨今において、限られた人的リソースを商品の企画開発、営業、マーケティングなどの「コア業務」に振り向けることは、離職率の防止という観点からもより重要になってきています。

たとえば、EC市場が年々拡大する中、今後は顧客との接点を増やすためのオムニチャネルや、個々の顧客の嗜好や需要に合わせたパーソナライズドマーケティングなど、積極的なマーケティング戦略の重要度は高まっています。

そのため、自社リソースに余裕がない場合は、物流などのノンコア業務はなるべくアウトソーシングし、自社リソースはできる限りコア業務に注力させるのが得策だといえるでしょう。

メリット②:入出荷のキャパシティを拡大できる

物流代行を利用すると、自社で物流業務を行う場合に比べて、より多くの入出荷件数に対応できるようになります。

ECセール(「Qoo10メガ割り」「楽天スーパーSALE」「超PayPay祭」など)、クリスマスイベント、年始の福袋の時期などは、平常時より入出荷件数が大幅に増えるため、自社物流だとキャパシティが足りず、販売機会を逃すことに繋がります。たとえば、セール時に出荷遅延が生じた場合、「待つくらいなら他の店舗で似た商品を購入しよう」というユーザーによる注文後のキャンセルリスクは遅延した時間だけ高くなります。さらに、ECモールによっては購入から3日目までに出荷できなかった場合、ペナルティ(該当する商品が1か月間販売できない、モール内のSEOが悪化し、掲載順位が下がってしまうなど)が与えられてしまいます。

 

その点、専門業者に委託しておけば、そのような入出荷の増減にも柔軟な対応が可能です。そのため、売り上げがグッと上がる繁忙期でも制限をかけずに出荷でき、機会損失を極小化できます。また、顧客からの返品や新商品の入荷もスムーズに棚入れできるので、販売開始までのタイムラグを少なくすることが期待できます。

メリット③:物流コストを一元化して「見える化」できる

物流代行を利用すると、物流コストが一元化され、管理しやすくなるというメリットも得られます。

物流業務を自社で行う場合、商品を保管する倉庫の家賃やスタッフの人件費など、多くのコストが固定費として発生しているケースが散見されます。また、他部門から応援として物流業務に従事しているケースもあるため、「物流業務のうち、工程ごと(ピッキング、検品、梱包など)にどの程度のコストがかかっているか」見えづらくなってしまいがちです。コストが正しく計測できなければその妥当性も検証できません。

 

物流代行を利用した場合、固定費や変動費を含め、すべての物流コストが業者への依頼料に一元化されます。その結果、物流にかかっているコストが「見える化」され、コストごとの正確な値やその変動額を時系列に算出することが可能になります。 また、実際に使用した保管コストや発生した作業コストを使用して、「売上高物流コスト比率」や「梱包あたり物流コスト」などを算出することにより、保管効率や作業効率の妥当性も検証しやすいと言えます。

メリット④:物流品質が向上する

物流代行を利用すると、自社で行うよりも物流業務の品質を向上させられます。

物流を専門としていない企業の場合、慣れない自社人員で物流をまわそうとすると、効率が上がらないばかりか、誤出荷などのヒューマンエラーにも繋がりやすいです。その一方、代行業者は物流業務のプロフェッショナルなので、自社で行うよりも的確かつスムーズな物流が実現します。

また、「商品が丁寧に梱包されている」「ラッピングがきれいに施されている」といった点も、顧客満足度に直結します。株式会社ラクスが2018年に調査した結果によると、ネット通販利用者の65.8%が「梱包やラッピングが丁寧だとリピートや他社への紹介に繋がる」との回答をしています。これら流通加工を丁寧にしてくれる業者に依頼すれば、口コミやレビューでの評価も上がり、多くのリピーターの獲得、LTVの向上に高い効果が期待できます。 

メリット⑤:多くのプラットフォームと連携することで売上機会を最大化できる

物流業務を専門業者にアウトソーシングすると、多くのプラットフォームや販売ツールとのデータ連携ができ、売上機会を拡大できるというメリットも得られます。

たとえば、中国向けの「天猫国際」、東南アジア・台湾向けの「Shopee」、アメリカ向けの「eBay」など、海外顧客を相手にする販売プラットフォームを使えば、越境ECにアプローチできるでしょう。また、「Instagram」「Youtube」「SHOPROOM」など、オンラインでありながら密接で双方向コミュニケーションが可能なライブ配信(ライブコマース)ツールを使えば、若い世代を中心に売上機会を広げられるでしょう。

これらのプラットフォームや販促ツールを使用するためには、自社の在庫データとリアルタイムで連携できる倉庫管理システム(WMS)が必要不可欠です。物流代行業者を選ぶ際は、どのようなWMSを導入しているかを確認し、データ連携に強い物流倉庫で売上機会を最大化していきましょう。

物流代行で気をつけたいデメリット

このように、物流代行サービスを利用すると多くのメリットが得られますが、業者選びの際に注意しないと、かえってデメリットに繋がる可能性もあります。

特に注意すべきデメリットを3点確認していきましょう。

デメリット①:想定外のコストがかかる可能性がある

物流業務をアウトソーシングすると、コストを変動費化できるので、物流にかかるコストが圧縮がされる可能性が高いです。しかし、事前に念入りなヒアリングをしていないと後から保管坪数が余分に必要となったり、チェック項目が多くなることで検品コストが予定外に膨らんでしまうなど、結果的に自社で行うより費用がかさむ危険性があります。

そのため、物流代行を利用する際は必ず複数社から見積もりを取ったうえで、事前に丁寧なヒアリングをしてくれる業者を選びましょう。物流現場に足を運んでもらい、将来的な販売戦略や物量の予測などを踏まえて、しっかり話し合いをしておくことで、先々のコスト増大リスクを最小化できます。

デメリット②:自社にノウハウが蓄積されにくい

物流代行を利用すると、自社に物流ノウハウが蓄積されにくいというデメリットもあります。経営方針として、「完全に物流を外注化する」という方向性であれば問題ありませんが、自社物流に戻す可能性がある場合は注意が必要です。

 

しかし、物流代行を利用していても、工夫次第で自社に業務フローや業務マニュアルなどの物流ノウハウを蓄積させることは可能です。たとえば、物流代行業者とのコミュニケーションを定期的に確保したり、代行業者が提供する倉庫管理システムを活用し、入出荷データの収集・分析を行うなどが効果的です。特に、誤出荷率や在庫差異率などの品質に加えて、ピッキングや出荷検品の生産性に関する数値目標を定量的に定め、モニタリングを行いましょう。さらに、誤出荷や在庫差異が仮に発生した場合、どのような要因から発生に至ったかについて、詳細な報告書を必ず徴収し、自社内でもその妥当性について検証することが非常に重要です。

デメリット③:情報管理に注意が必要

物流代行を利用すると、代行業者に顧客情報などを共有することになります。そのため、情報管理に注意しないと、顧客情報が漏洩するなどのトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

情報管理の大切さは今や周知のことですが、自社でどんなに入念な情報管理をしていても、代行業者のミスで漏洩してしまえば、それは自社の責任問題に繋がります。

そのため、物流代行を利用する際は、顧客情報へのアクセス権限の所在やUSBメモリ等の取り扱い状況など、情報管理体制の詳細をあらかじめ確認しておきましょう。また、個人情報保護に関する第三者認証制度であるプライバシーマークを取得しているかどうかも、よい判断基準になります。情報漏えいインシデントは企業が培ってきた信用の失墜を招くため、絶対に避けるべきなのは間違いありません。情報管理体制がしっかり敷かれた業者を選び、漏洩リスクを最小限に抑えましょう。

物流代行で失敗しないためのポイント

物流代行を利用する際は、ここまで見てきたメリットを最大化し、デメリットを最小化するための業者選びが重要です。

ここでは、物流代行で失敗しないため、業者を選定する際に意識したいポイントを3点確認していきましょう。

ポイント①:"ピカピカに磨いた革靴”のようなシステムのカスタマイズが続けられるか

ひとくちに物流といっても、商材や販売チャネルの違いによって、企業ごとに最適な物流は異なってきます。そのため、物流代行を利用する際は、自社の物流業務の流れにマッチするよう、システムをカスタマイズできるかどうかを確認することが重要です。

また、最適なシステムというのは一度決まれば変わらないものではなく、市場の動きや顧客ニーズの変化などにより、日々変わっていきます。例えば「新しく量販店と取引を開始する」「製造工場を変更する」「SKUを大幅に増やす」「越境ECをはじめる」など、経営環境は日々変わり続けるといっても過言ではありません。そのため、変化の激しい中で常に最適な物流体制が整うよう、柔軟なカスタマイズができる業者が望ましいといえるでしょう。綺麗に手入れされた靴のように、システムのカスタマイズもずっと磨き続ける必要があるといえるでしょう。

 

三協では物流に特化したエンジニアが多数在籍しており、システムの改良に取り組んでおります。お客様からの追加オーダー(新しい機能や画面改修)に加え、そのシステムを実際に使用する数百人の現場スタッフから日々上がってくる改善要望(画面が見づらい、間違えやすい、操作しづらいなど)を吸い上げ、整合性を取りながらどんどんシステムに取り込んでいます。その結果、システムカスタマイズは年間300件超にのぼっており、常にアップデートされたシステムをお客様へ提供しています。

ポイント②:充分な資格や実績があるか

物流代行の業者を選ぶ際は、充分な実績があるかどうかも必ず確認しましょう。

実績が豊富ということは、それだけ他の企業に評価されてきた証拠です。もちろん、実績が少ない中にも信頼できる業者がいる可能性はありますが、実績豊富な方が低リスクなのは間違いありません。

また、実績を確認する際は、「自社と似た商材の取り扱い実績」「同じ百貨店や量販店などでの納品実績」「利用している基幹システムとの連携実績」なども確認しておきましょう。その他にも、食料品や化粧品を扱うなら、「温度管理のモニタリング状況や先入れ先出しのロット管理をどの程度徹底しているか」「倉庫管理に必要な許可証を持っているか」などの確認も重要です。

 

三協では現在、現在90社弱(医療機器・化粧品・靴・スポーツウェア・酒・食品など)の取引企業様がいらっしゃり、その業態もSPA、メーカー、問屋、小売店など多岐に亘ります。世界的に有名なアパレル企業様や化粧品企業様ともお取引をさせていただいております。無料の倉庫見学会なども開催しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

ポイント③:誤出荷を防ぐ対策が取られているか

物流代行業者を選定する際は、誤出荷を防ぐための対策が取られているかどうか、入念に確認しましょう。

物流業務をアウトソーシングすれば、物流の効率はほぼ間違いなく向上します。しかし、どんなに効率が向上したところで、誤出荷が発生してしまえば意味がありません。

誤出荷率が高いと、顧客満足度が下がり、クレーム発生の原因にもなります。そのため、物流代行を依頼する際は、限りなく誤出荷率をゼロに近づけている業者を選ぶことが大切です。

 

手前味噌ではありますが、三協の物流代行における誤出荷率は0.3PPM(2022年末時点)、すなわち300万件に1件(0.00003%)以下の誤出荷率となっております。なお、300万件に1件のミスには入出荷データを頂戴できず、弊社の倉庫管理システムでの制御がかけられない企業様の数値含まれており、弊社のWMSでデジタル管理を行っているお客様についての出荷精度はさらに高い結果となっております。三協に物流代行をした結果、在庫差異がほぼ出ないため、月次の棚卸や販売店側での確認作業(従来は店舗スタッフが適正な数量かを開店前に確認していた)をすべて無くしたというお客様もいらっしゃいます。

【まとめ】物流代行を利用して、EC事業を効率化しましょう

今回は、物流業務を効率化する手段である「物流代行」について、利用するメリットやデメリット、業者選定の際のポイントなどを詳しく確認してきました。

EC市場の物販需要は年々増加しており、物流業務の負担も今後さらに増えていくことが予想されます。また、先進的なECプラットフォームや販促支援ツールもますます開発されるため、そのツールを物流側とスムーズにリンクさせるためのソフトウェアやシステムに関する知見やノウハウもこれまで以上に求められていきます。そのため、EC事業の業績アップを図るのであれば、信頼できる業者に物流業務をアウトソーシングするのがおすすめです。

 

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