物流アウトソーシングとは?導入メリット・デメリットと失敗しない委託先の選び方
物流アウトソーシングとは、入荷・保管・在庫管理・ピッキング・梱包・配送などの物流業務を専門会社へ委託するサービスです。人手不足や物流コストの増加、2024年問題などを背景に、多くの企業が物流業務の効率化や品質向上を目的として導入を進めています。
一方で、物流アウトソーシングは、すべての企業に適しているわけではありません。導入によってコスト削減や業務効率化が期待できる一方、委託先選びを誤ると、物流品質の低下や情報漏えいなどのリスクが生じる可能性もあります。そのため、自社の課題を整理したうえで、適切なパートナーを選ぶことが重要です。
本記事では、物流アウトソーシングの基本的な仕組みや委託できる業務内容をはじめ、導入するメリット・デメリット、導入が向いている企業の特徴、失敗しない委託先の選び方まで詳しく解説します。物流アウトソーシングの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
物流アウトソーシングとは
物流アウトソーシングとは、企業が自社で行っていた物流業務(入荷・検品・在庫管理・ピッキング・梱包・出荷・配送など)を、外部の専門業者に委託することを指します。従来は自社倉庫や社内スタッフで対応していた作業をアウトソースすることで、固定費の変動費化や物流品質・納期の安定化が実現できます。
物流アウトソーシングが求められる背景
近年はEC市場の拡大や消費者ニーズの多様化により、小口・多頻度配送や短納期への対応が求められるようになっています。物流は単なるバックヤード業務ではなく、スピード、正確性、柔軟性が企業の競争力を左右する重要な要素となっています。

画像引用:経済産業省_国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)
経済産業省が2025年8月に発表した調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1,225億円(前年比5.1%増)に達し、拡大基調が続いています。これに伴い、国土交通省の調査では2024年度の宅配便取扱個数が50億3,147万個(前年度比0.5%増)と高水準を維持しており、物流需要は引き続き増加傾向にあります。
一方で、物流を担う人材の確保は年々困難になっています。全日本トラック協会の調査(2025年3月)では、必要なドライバー数を確保できている企業はわずか37.7%にとどまり、6割超が「不足している」と回答しています。国土交通省の「物流施策大綱」(2024年版)では、このままの推移が続けば2030年には約36万人のドライバーが不足するとの見通しも示されています。さらに、2024年4月にはトラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限規制が適用され(いわゆる「物流の2024年問題」)、輸送力の確保と業務効率化の重要性がこれまで以上に高まっています。
こうした「需要の拡大」と「供給の制約」が同時に進む構造的な変化の中で、物流業務の一部または全部を専門事業者へ委託し、人手不足への対応・物流品質の安定化・出荷量の変動への柔軟な対応を図る企業が増えています。物流アウトソーシングは、安定した物流体制を維持しながら、商品開発や営業、マーケティングなどのコア業務に経営資源を集中するための有効な手段として、その役割がさらに大きくなっています。
参考:
経済産業省_令和6年度 電子商取引に関する市場調査
国土交通省_物流の2024年問題について
国土交通省_令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について
物流アウトソーシングで委託できる主な5つの業務
物流アウトソーシングでは、入荷から保管、出荷、返品対応まで、物流業務の一部またはすべてを委託できます。対応範囲は物流アウトソーシング会社によって異なるため、自社が委託したい業務に対応しているかを事前に確認することが重要です。
ここでは、多くの物流アウトソーシング会社が対応している代表的な5つの業務を紹介します。
① 入荷・検品
仕入先や製造元から届いた商品を受け取り、品番・数量・状態を確認する工程です。納品予定との照合、外装や破損のチェックを行い、検品結果をシステムへ登録します。近年は、バーコードやQRコードを用いたデジタル検品による誤出荷防止が主流です。
また、アパレルではサイズ・カラー確認、食品では賞味期限やロット番号の確認、製造業では部品点数や型番の照合など、商材に応じた検品にも対応しています。
全数検品にするのか、ケース単位にするのかによって、作業コストやリードタイムは大きく変わります。そのため、自社の商品特性や品質基準に応じた検品体制を構築できる物流アウトソーシング会社を選ぶことが重要です。
② 保管・在庫管理
商品特性に応じた温度帯や棚割りで保管し、適正在庫を維持する業務です。物流アウトソーシング会社によっては、常温・冷蔵・冷凍倉庫のほか、重量物や長尺物など特殊な保管にも対応しています。
ロケーション管理(固定・フリー)や倉庫レイアウトの設計力によって、保管効率や作業生産性は大きく変わります。そのため、自社の商材特性や出荷頻度に適した保管体制になっているかを確認することが重要です。
また、WMS(倉庫管理システム)を導入している物流アウトソーシング会社であれば、在庫のリアルタイム管理や先入れ先出し(FIFO)、ロット・賞味期限管理などにも対応できます。さらに、SKU数・在庫回転率・滞留在庫を可視化することで、在庫の最適化につなげることも可能です。
③ 帳票発行とピッキング
帳票発行では、WMS(倉庫管理システム)を活用し、ピッキングリスト・納品書・送り状・加工指示書などを正確に自動生成します。帳票の取り違えは誤出荷だけでなく、情報漏えいにつながる可能性もあるため、システムによる管理が重要です。
ピッキングでは、バーコードやQRコードに加え、タブレットやボイスピッキングなどを活用することで、人の経験や勘に頼らない正確で効率的な作業を実現します。
委託先によっては、ECサイトや基幹システムと連携し、受注から帳票発行・出荷までを自動化できるケースもあります。
④ 出荷検品・流通加工・梱包
出荷検品では、WMS(倉庫管理システム)上で商品・納品書・送り状を照合し、誤出荷を防止します。システムによる自動照合を導入することで、人為的な確認ミスを大幅に削減できます。
流通加工では、ノベルティ同梱やギフト包装、ラッピング、ラベル貼付、セット組みなど、商品の付加価値を高める作業にも対応しています。デジタル管理による正確性と、人による丁寧な作業を組み合わせることで、ブランドイメージに合わせた物流対応を実現できます。
また、梱包方法は配送品質や作業効率にも影響するため、自社の商品特性や配送方法に適した梱包設計ができる物流アウトソーシング会社を選ぶことが重要です。
⑤ 返品処理
返品処理では、商品状態の確認、再販売可否の判断、在庫計上までをスピーディに行います。返品対応が遅れると再販機会を逃し、在庫滞留につながるため、迅速な対応が重要です。
特にECでは、「返品のしやすさ」が顧客満足度やブランド評価にも影響します。物流アウトソーシング会社によっては、返品情報をリアルタイムで在庫管理システムへ反映し、再販や在庫管理を効率化できる体制を整えています。
また、BtoBでは季節商品の返品や再入庫、ECチャネルでの再販などにも対応しており、販売チャネルに応じた柔軟な返品処理を委託できる物流アウトソーシング会社もあります。
物流アウトソーシングで対応できる業務範囲や得意分野は、委託先によって異なります。入荷から返品対応まで一括して委託できる会社もあれば、保管や流通加工など特定の業務に特化した会社もあります。そのため、自社が委託したい業務や課題を整理したうえで、最適な物流アウトソーシング会社を選ぶことが重要です。
自社物流と物流アウトソーシングの違い
自社物流と物流アウトソーシングの違いは、「自社で物流業務を運営するか」「専門会社へ委託するか」という点だけではありません。初期費用や運用コスト、繁忙期への対応力、物流品質など、物流体制全体に大きな違いがあります。
まずは、それぞれの特徴を比較してみましょう。
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自社物流 |
物流アウトソーシング |
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|---|---|---|
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運営体制 |
自社で運営 |
専門会社へ委託 |
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初期投資 |
倉庫・設備・システム導入が必要 |
初期投資を抑えやすい |
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人材確保 |
自社で採用・教育が必要 |
委託先が対応 |
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繁忙期への対応 |
人員確保が必要 |
物量に応じて柔軟に対応しやすい |
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システム |
自社で導入・運用 |
WMSなどを活用できる場合が多い |
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向いている企業 |
独自運用を重視する企業 |
コスト最適化や業務効率化を図りたい企業 |
自社物流では、物流センターの確保や設備投資、人材の採用・教育などを自社で行うため、自社の方針に合わせた柔軟な運用が可能です。一方で、物量に関わらず固定費が発生しやすく、繁閑差への対応も自社で行う必要があります。
一方、物流アウトソーシングでは、入荷・保管・在庫管理・出荷などの物流業務を専門会社へ委託します。既に構築されたオペレーションやWMS(倉庫管理システム)を活用できるため、短期間で物流体制を整えやすく、物量の増減にも柔軟に対応できる点が特徴です。
特にEC物流のように出荷量の変動が大きい業種では、自社ですべてを運営するよりも、物流アウトソーシングを活用することで、物流品質を維持しながら業務負担やコストを最適化できるケースが多くあります。
物流アウトソーシングの種類
物流アウトソーシングは、委託する業務範囲や役割によって「3PL」「4PL」「5PL」に分類されます。委託する範囲が広がるほど、物流業務の実行だけでなく、物流戦略やサプライチェーン全体の最適化まで支援を受けられるようになります。自社の物流課題や目的に応じて、適したサービスを選ぶことが重要です。
3PL(Third Party Logistics)
3PLは、倉庫保管・在庫管理・検品・ピッキング・梱包・配送など、物流業務を専門会社へ委託する最も一般的な物流アウトソーシングの形態です。自社で倉庫や人員を抱える必要がなく、物流コストの削減や業務の標準化、繁忙期・閑散期への柔軟な対応を実現できます。
4PL(Fourth Party Logistics)
4PLは、物流業務の委託に加え、複数の物流会社の管理や物流戦略の立案など、物流全体を統括・最適化する形態です。物流ネットワーク全体を見直し、コストやリードタイム、物流品質の改善を図りたい企業に適しています。
5PL(Fifth Party Logistics)
5PLは、AIやIoT、クラウドシステムなどのデジタル技術を活用し、サプライチェーン全体を最適化する形態です。需要予測や在庫配置、配送計画などをデータに基づいて最適化できるため、EC物流やグローバル物流など、複雑な物流ネットワークを持つ企業で導入が進んでいます。
物流アウトソーシング契約形態の違い
物流アウトソーシングの契約形態は、大きく「定額型」と「カスタム型」に分けられます。物流量や委託する業務内容によって適した契約形態は異なるため、自社の物流体制に合ったプランを選ぶことが重要です。
定額型
定額型は、あらかじめ委託する業務範囲を定め、月額や年額などの固定料金で契約する方式です。入庫・保管・出荷・返品処理などの基本業務を一定の費用で委託できるため、コストを把握しやすい点が特徴です。物流量が安定しているメーカーや卸売業など、定常的な出荷が多い企業に適しています。
カスタム型
カスタム型は、商材特性や販売戦略に合わせて物流フローを柔軟に設計し、業務内容に応じて料金を設定する方式です。検品・同梱・ギフト包装・流通加工などにも柔軟に対応できるため、EC事業者や販促施策が多い企業、多品種少量の商品を扱う企業に適しています。ただし、導入時には工程設計や運用調整に一定の時間やコストがかかる場合があります。
物流アウトソーシングを導入する6つのメリット
物流アウトソーシングを導入することで、物流業務の効率化だけでなく、コストの最適化や物流品質の向上、人手不足への対応など、さまざまなメリットが期待できます。
また、物流業務を専門事業者へ委託することで、商品開発や営業、マーケティングなどのコア業務に経営資源を集中できるため、企業全体の生産性向上にもつながります。
ここでは、物流アウトソーシングを導入する6つのメリットを紹介します。
コア業務に経営資源を集中できる
物流業務を専門事業者へ委託することで、企画・営業・商品開発・顧客対応などのコア業務に人員や時間を集中できます。物流人材の採用や教育、人員配置といったマネジメント業務の負担も軽減されるため、限られた経営資源をより戦略的に活用できるようになります。
また、物流会社によっては、入出荷や保管だけでなく、受注管理や返品対応、コールセンター業務まで対応するフルフィルメントサービスを提供している場合もあります。業務全体を包括的に委託することで、さらなる業務効率化が期待できます。
人手不足や採用負担を軽減できる
物流業界ではドライバーや倉庫スタッフの人手不足が深刻化しており、自社で必要な人材を確保・育成することが年々難しくなっています。
物流アウトソーシングを活用すれば、採用活動や教育、シフト管理などの負担を軽減し、安定した物流体制を構築できます。また、繁忙期の増員にも柔軟に対応しやすく、人員不足による出荷遅延や業務停滞のリスクを抑えられます。
物流品質の向上とクレームリスクの低減
物流の専門事業者では、検品・保管・ピッキング・梱包・出荷などの作業が標準化されており、WMS(倉庫管理システム)などを活用して品質管理を行っています。そのため、誤出荷や出荷遅延などのミスを抑え、安定した物流品質を維持しやすくなります。
また、百貨店や量販店、ECモールなど、それぞれ異なる納品ルールや出荷基準にも対応しているため、自社で対応するよりも品質を維持しやすい点もメリットです。
物流品質の向上は、クレームの削減だけでなく、顧客満足度や企業ブランドの向上、取引先からの信頼確保にもつながります。
③ 固定費の変動費化によるコストの最適化
自社で物流を運営する場合、人件費や倉庫賃料、設備投資などの固定費が継続的に発生します。一方、物流アウトソーシングでは、保管量や出荷量に応じた料金体系を採用しているケースが多く、固定費を変動費化しやすいことが特徴です。
また、WMS(倉庫管理システム)やマテハン機器などへの初期投資や保守・運用を自社で行う必要がないため、設備投資を抑えながら効率的な物流体制を構築できます。
繁忙期や物量の変動に柔軟に対応できる
セールやキャンペーン、季節要因などによって出荷量が大きく変動する企業では、自社物流だけで対応することが難しい場合があります。
物流アウトソーシングでは、物流事業者が持つ人員や設備、倉庫ネットワークを活用できるため、繁忙期や急な受注増加にも柔軟に対応できます。物流量に合わせて体制を調整しやすく、機会損失の防止にもつながります。
物流業務を可視化し、継続的に改善できる
物流アウトソーシングでは、委託範囲や責任区分が明確になるため、トラブルが発生した際にも原因を特定しやすくなります。
さらに、WMSなどを活用することで、在庫状況や出荷実績、作業時間などをデータとして可視化でき、物流コストや業務効率を継続的に分析・改善しやすくなります。
物流を経験や勘だけに頼るのではなく、データに基づいて改善できる体制を構築できることも、物流アウトソーシングの大きなメリットです。
物流アウトソーシングを導入する4つのデメリット
物流アウトソーシングには、コスト削減や物流品質の向上など多くのメリットがあります。一方で、委託後の運用方法や委託先の選び方によっては、期待した効果が得られない場合もあります。
ここでは、物流アウトソーシングを導入する前に理解しておきたい4つのデメリットと、その対策を解説します。
物流ノウハウが自社に蓄積しにくい
物流業務を外部へ委託すると、日々の運用改善やトラブル対応などの経験は委託先に蓄積されるため、自社で物流改善を進めるための知見やノウハウが育ちにくくなる可能性があります。
この課題を防ぐには、委託先と定期的にKPIや改善内容を共有し、物流データを活用できる体制を整えることが重要です。
例えば、出荷リードタイムや誤出荷率、返品率などを継続的に分析・共有することで、物流改善のノウハウを社内にも蓄積できます。物流アウトソーシングは「任せきり」にするのではなく、委託先と改善活動を共同で進めることが成功のポイントです。
契約範囲以外の業務に対応してもらえない
物流アウトソーシングでは、契約内容に基づいて業務が運用されるため、契約範囲外の対応には追加費用が発生したり、対応できなかったりする場合があります。
例えば、新商品の発売や販促キャンペーンによる急な出荷量の増加、取扱商品の追加など、自社の経営判断に物流体制がすぐ対応できないケースもあります。
契約前には、対応可能な業務範囲や繁忙期の対応体制、リードタイム、追加料金の条件などを十分に確認し、将来的な事業拡大にも対応できる物流事業者を選ぶことが重要です。
情報漏えい・情報セキュリティのリスクがある
物流アウトソーシングでは、顧客情報や配送先情報、受注データなどの重要な情報を委託先と共有するため、情報漏えいのリスクを完全にゼロにすることはできません。
万が一、情報漏えいが発生すると、顧客からの信頼低下だけでなく、企業イメージの悪化や損害賠償などにつながる可能性もあります。
そのため、委託先がISMS(ISO/IEC 27001)などの情報セキュリティ認証を取得しているか、アクセス権限の管理や情報管理体制が整備されているかを事前に確認することが重要です。
切り替えコストや委託先変更の負担が発生する
物流アウトソーシングを導入する際には、業務フローの見直しや在庫移管、システム連携、マスターデータの整備など、一定の準備期間とコストが必要です。
また、委託先を変更する場合にも、倉庫移転やシステムの再構築、業務の引き継ぎなど、多くの時間と費用が発生します。さらに、委託先の経営悪化や事業撤退などが起きた場合には、短期間で代替の物流会社を確保しなければならないケースもあります。
こうしたリスクに備えるためには、複数の物流会社を比較したうえで契約することに加え、契約終了時の引き継ぎ方法やデータ返却、BCP(事業継続計画)への対応なども事前に確認しておくことが重要です。
物流アウトソーシングで失敗しない委託先の選び方
物流アウトソーシング会社は数多くありますが、料金の安さや倉庫の立地だけで選ぶと、「想定よりコストが高くなった」「繁忙期に出荷できなかった」「自社の商品に十分対応してもらえなかった」といったトラブルにつながることがあります。
物流は企業の売上や顧客満足度を左右する重要な業務です。そのため、価格だけでなく、対応力や品質、サポート体制まで含めて総合的に比較・検討することが大切です。
ここでは、物流アウトソーシング会社を選ぶ際に確認したい6つのポイントを紹介します。
倉庫の立地・配送ネットワークを確認する
物流では、倉庫の立地が配送スピードや輸送コストに大きく影響します。高速道路のICや主要配送会社の集配拠点に近い倉庫であれば、配送リードタイムの短縮や輸送コストの削減が期待できます。
また、配送エリアや複数拠点の有無も重要な確認ポイントです。複数の物流拠点を持つ事業者であれば、災害やトラブルが発生した際にも代替拠点で対応しやすく、事業継続性(BCP)の面でも安心できます。
自社商品の取扱実績・対応実績を確認する
物流会社によって対応できる商材や業界は異なります。化粧品や食品、医療機器などは許認可や品質管理が必要となるため、自社商品と同じ業界での物流実績があるかを確認しましょう。
また、温度管理やロット管理、トレーサビリティ、賞味期限・使用期限管理など、自社商品に必要な管理体制が整っているかも重要です。
繁忙期や急な物量増加への対応力を確認する
セールやキャンペーン、テレビやSNSでの紹介などにより、短期間で注文が急増するケースは少なくありません。
物流会社によっては繁忙期に出荷制限を設けている場合もあるため、「最大でどの程度の出荷量に対応できるか」「人員を増強できる体制があるか」「即日出荷に対応できるか」などを事前に確認しておくことが重要です。
対応できるサービス内容・システム連携を確認する
物流会社によって対応できるサービス範囲は異なります。保管・入出荷だけでなく、流通加工やギフト対応、返品処理、受注管理など、自社が必要とする業務に対応できるかを確認しましょう。
また、WMS(倉庫管理システム)やECカート、基幹システムとの連携にも対応しているかを確認することで、業務効率をさらに高められます。
料金体系・見積もりの透明性を確認する
物流アウトソーシングでは、保管料だけでなく、入出庫料や流通加工費、梱包費、システム利用料など、さまざまな費用が発生します。
見積書に含まれる費用項目や追加料金の条件を確認し、導入後に想定外のコストが発生しないかをチェックしましょう。また、現在の物流量だけでなく、将来の物量増加も見据えたシミュレーションを依頼することも重要です。
物流アウトソーシング導入の流れ
ここまで、物流アウトソーシングの仕組みやメリット、委託できる業務内容について解説してきました。では実際に導入を進める際、どのような手順で進めればスムーズに立ち上げられるのでしょうか。以下では、失敗しない物流アウトソーシング導入の4ステップを紹介します。
① 自社物流の課題を整理する
まずは自社の物流課題を正確に把握します。
入出荷フロー、在庫精度、保管コスト、人件費などを洗い出し、どの工程を外部化すべきかを明確にします。この段階で現場担当者と経営層の認識をすり合わせておくことで、後のトラブル防止にもつながります。
② 見積・提案を複数社に依頼する
次に、複数の物流会社へ見積を依頼し、条件を比較します。金額だけでなく、対応範囲(BtoB/BtoC)・システム連携力(基幹システム/OMS/WMS)・繁閑差対応力などを評価ポイントに加えましょう。
特に「どこまで自動化・効率化できるか」は、長期的なコスト最適化の鍵です。
また、取扱商材の特性(コスメ/アパレル/医療機器など)にどこまで精通しているかも重要な比較軸になります。
③ 倉庫見学・システム確認を実施する
現場を見ずに契約するのは避けるべきです。実際の倉庫を見学し、WMS(倉庫管理システム)の運用実態や検品・ピッキングの精度を確認します。
このとき、
・繁忙期の処理能力
・イレギュラー対応の仕組み
・倉庫内の安全・衛生管理状況
などを具体的に質問すると、各社の実力差が明確に見えてきます。
また、外に何気なく出ているパレットの整頓状況や仕分け中の商品などは事前準備できないため、現場の「素の実力」が出やすいポイントです。さらに、もし可能であれば、同じ物流倉庫を利用している荷主に話を聞かせてもらうことも有効です。本当に自信があれば応じてくれるでしょう。
④ 契約・導入準備と移行テスト
契約後は、初期データの連携・SKU登録・作業手順書のすり合わせを行い、続いてシステムやデータの整合性を確認する移行テストを実施します。
その後、実際の出荷業務を想定した試験稼働(パイロット運用)を経て、本番稼働へ移行します。
導入時には、次の点を確認しておきましょう。
・移行テスト(システム検証)で発生した課題を一緒に解決してくれるか
・試験稼働期間を十分に設け、実運用に近い形で検証できるか
・イレギュラー発生時の対応フローが明文化されているか
また、契約書には費用体系・契約期間・トラブル発生時の対応プロセスを明文化しておくことが不可欠です。移行テストで不具合が出ること自体は問題ではなく、課題を共有し解決へ導いてくれるパートナーかどうかが最大の判断ポイントです。
物流アウトソーシング導入の成功事例
三協では、さまざまな業種のお客様に物流アウトソーシングをご利用いただいています。
以下では、①レディースアパレル(ワンピース・アウター・小物)②靴(パンプス/ブーツ)③スキンケア/ベースメイク商材の3つの事例をご紹介します。
いずれの企業様も、「誤出荷ゼロ」「出荷スピード向上」「ブランド価値の向上」といった成果を実現しています。
① 物流アウトソーシング導入で「モール数12倍・売上10倍超」(インターナショナルスワングループ様)
【導入前の課題】
自社物流の限界により、繁忙期には出荷遅延や誤出荷が頻発。それに伴うクレーム対応や交換処理が増加し、現場への負担が大きくなっていました。
また、ECカートシステムと受注管理システムの連携が煩雑化し、商品登録や在庫連携がスムーズにいかないなど、新しいECモールへの出店拡大が思うように進まなくなっていました。
【導入後の効果】
物流アウトソーシングの導入により、当初は楽天のみの出店でしたが、現在では20を超えるECモールに展開し、出荷件数は年間約2万件から約25万件へと大幅に増加しました。
また、取引開始から10年以上にわたり誤出荷ゼロを継続。土日祝の出荷体制も整備し、楽天の「最強翌日配送ラベル」やYahoo!ショッピングの「優良配送ラベル」を取得しています。
誤出荷が発生しない体制を構築したことで、クレーム対応に費やしていた時間を商品企画や販売施策に充てられるようになり、結果として、同社は毎年着実に売上を伸ばし続けています。
詳しくはこちら ▶︎ 物流アウトソーシング導入で「モール数12倍・売上10倍超」
② 物流アウトソーシング導入で「誤出荷・未出荷・在庫差異ゼロ」(PRAIA inc.様)
【導入前の課題】
繁忙期と閑散期で出荷件数が10倍以上変動し、保管スペースや人員のコントロールが難しい状況でした。アナログ作業が多く、出荷制限が常態化。せっかくEC販売で注文が増えても、出荷完了までに2〜3日を要することがあり、キャンセル率の上昇が課題となっていました。
また、百貨店での催事販売は反響が大きい一方で、返品処理に時間がかかるため、同時開催や短期間での連続開催が難しい状況でした。
在庫差異も多く、店舗スタッフがお客様から在庫状況を聞かれても、確認に時間がかかるなど、販売機会を逃す場面も発生していました。
こうした課題により、物流がボトルネックとなり、販売戦略や新規施策の展開に大きな制約を抱えていました。
【導入後の効果】
アウトソーシング後は、倉庫レイアウトの最適化と保管効率の向上により、年間1,000万円のコスト削減を達成。WMS(倉庫管理システム)によるシステム制御を徹底することで、誤出荷や未出荷は完全になくなりました。
導入から1年後に実施した初回棚卸では、約4,500SKU・約24,000点すべてのアイテムで在庫差異ゼロを記録しています。また、楽天スーパーセールなどの大規模セール期間においても、当日出荷できる体制を確立しました。
さらに、返品入庫も即日棚入れできる仕組みを整備し、同社の経営課題となっていた百貨店催事の同時開催も実現。直近でも4つの百貨店での同時開催を実施、販売機会の最大化に貢献しました。
店舗スタッフはタブレットでリアルタイムに在庫を確認できるようになり、店舗とECの在庫共有を実現。倉庫に確認することなく販売可否を即答できるようになり、オムニチャネル販売の推進と顧客満足度の向上を両立しています。
詳しくはこちら ▶︎ 物流アウトソーシング導入で「誤出荷・未出荷・在庫差異ゼロ」
③ 化粧品物流アウトソーシングで「ブランドの世界観を伝える」(株式会社Excess Beauty様)
【導入前の課題】
出荷量の増加により、手作業での梱包・発送では誤出荷や在庫管理ミスが発生。
こだわり抜いて作った化粧品なのに、物流が足を引っ張っている状態でした。
ブランドの世界観に浸ってもらえるような、上質で洗練された梱包やギフトラッピングを目指す一方で、アナログ作業中心の工程では時間が足りず、品質とスピードの両立が難しいというジレンマを抱えていました。
【導入後の効果】
アウトソーシング後は、コスメ物流向けに最適化したWMS(倉庫管理システム)によって、誤出荷ゼロを達成しております。
また、約20回にわたる打ち合わせとフィードバックを通じて、
「リボンの配置位置」「飾りタグの種類や枚数」「緩衝材の膨らませ具合」など、
細部にわたって現場で改良を重ねることで、上質で洗練された梱包・ラッピングが実現できました。
同社には、「開梱した瞬間、ブランドのこだわりが伝わってきた」というエンドユーザー様の声が多数寄せられるようになっており、リピート購入やファン層の拡大にもつながっています。
詳しくはこちら ▶︎ 化粧品物流アウトソーシングで「ブランドの世界観を伝える」
物流アウトソーシングが向いている企業
「物流アウトソーシングを導入したほうが良いのか判断できない」という方も多いのではないでしょうか。
物流業務は、売上の拡大や事業成長に伴って複雑化しやすく、自社運営を続けることで人手不足やコスト増加、出荷品質の低下につながるケースも少なくありません。
まずは、以下の項目に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
物流アウトソーシング簡単チェックリスト
✓人手不足が続いており、採用しても人材が定着しない
✓倉庫が手狭になり、保管スペースが不足している
✓誤出荷や発送漏れなどの出荷ミスが発生している
✓セールやキャンペーンなど繁忙期の物量増加に対応できない
✓在庫管理や出荷業務が特定の担当者に依存している
3つ以上当てはまるなら物流アウトソーシングの検討がおすすめです
3項目以上当てはまる場合は、自社物流の運用が限界に近づいている可能性があります。
物流アウトソーシングを活用することで、保管・入出荷・在庫管理などの物流業務を専門会社へ任せられるため、人手不足の解消や物流品質の向上、コストの最適化が期待できます。
また、物流担当者は商品開発や営業活動など、本来注力すべきコア業務に集中しやすくなります。
特に、EC事業の拡大や取扱商品の増加、販促キャンペーンの実施などで出荷量が増えている企業では、物流体制を見直すタイミングです。
「自社に物流アウトソーシングが適しているかわからない」という場合でも、現状の物流課題を整理し、改善方法を検討することで最適な運用方法が見えてきます。まずは現状の物流体制を見直し、自社に合った物流パートナーを検討してみましょう。
物流アウトソーシングに関するよくある質問
物流アウトソーシングを検討する際は、費用や導入期間、対応できる商材、出荷量など、事前に確認しておきたい点が数多くあります。
ここでは、三協へ初めてご相談いただく際によく寄せられる質問を中心に、物流アウトソーシングの導入前に知っておきたいポイントをまとめました。
物流アウトソーシングの費用はどれくらいかかりますか?
物流アウトソーシングの費用は、商品の種類や保管量、出荷件数、流通加工の有無などによって異なります。一般的には、保管料・入出庫料・梱包料・配送費・システム利用料などを組み合わせた料金体系となります。
三協では、お客様の物流量や業務内容をヒアリングしたうえで、導入後に想定外の費用が発生しないよう、明確なお見積もりをご提案しています。
中小企業でも物流アウトソーシングを利用できますか?
もちろん可能です。
物流アウトソーシングは大企業だけでなく、EC事業者やメーカー、卸売業など、中小企業でも多く利用されています。特に、自社で物流担当者を確保することが難しい企業や、物流業務の負担を軽減したい企業におすすめです。
導入までどれくらいの期間がかかりますか?
導入期間は、取り扱う商品やシステム連携の有無によって異なりますが、一般的には1〜3か月程度が目安です。
商品マスターの登録や運用フローの確認、在庫移管などを事前に行うことで、スムーズな切り替えが可能です。お急ぎの場合は、短期間で導入できるケースもありますので、お気軽にご相談ください。
少ない出荷件数でも依頼できますか?
はい、可能です。
物流会社によって最低出荷件数は異なりますが、三協では事業規模や出荷量に合わせた物流プランをご提案しています。現在の出荷量だけでなく、将来的な事業拡大も見据えた運用をご提案いたします。
どのような商品に対応していますか?
化粧品、アパレル、食品、医療機器、日用品、雑貨など、さまざまな商材に対応しています。
商品によっては許認可や温度管理、ロット管理などが必要になるため、自社商品に対応できるか事前に確認することをおすすめします。
繁忙期や急な注文増加にも対応できますか?
対応可能です。
ただし、物流会社によっては繁忙期に出荷制限を設けている場合があります。三協では、事前に販売計画を共有いただくことで、人員配置や物流体制を調整し、大型セールやキャンペーンなどによる急な物量増加にも柔軟に対応しています。
現在利用しているシステムと連携できますか?
対応可能なシステムは物流会社によって異なります。
三協では、自社開発のWMS(倉庫管理システム)を採用しており、ECカートや受注管理システム、基幹システムなど、お客様の運用に合わせたシステム連携をご提案しています。
物流アウトソーシングで物流課題を解決し、事業成長につなげよう
物流アウトソーシングは、単に物流コストを削減するための手段ではありません。保管・入出荷・在庫管理・発送などを専門会社へ委託することで、人手不足や倉庫不足、出荷ミス、繁忙期対応といった物流課題の解決が期待できます。
物流業務の負担を軽減できれば、自社の人材や資金を商品開発、営業、マーケティングなどのコア業務へ集中させやすくなります。また、物量の増加や販売チャネルの拡大にも対応しやすくなり、事業成長を支える物流体制の構築にもつながります。
ただし、期待する効果を得るためには、料金だけで委託先を選ぶのではなく、取扱実績や繁忙期の対応力、システム連携、サポート体制などを総合的に比較することが重要です。
三協では、企業ごとの商品特性や販売計画、物流課題を丁寧に整理したうえで、倉庫運営から在庫管理、流通加工、システム連携まで一貫してご提案しています。
「現在の物流体制を見直したい」「物流コストや出荷品質に課題がある」「事業拡大に対応できる物流体制を整えたい」という場合は、物流アウトソーシングの活用をご検討ください。
