防災用品を「必要な時に届け切る」
1日1,000件の出荷の壁を突破した、倉庫移転プロジェクトの舞台裏

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防災用品を「必要な時に届け切る」1日1,000件の出荷の壁を突破した、倉庫移転プロジェクトの舞台裏

株式会社三協の物流改善コンサルティングサービスをご活用いただいている、株式会社ピースアップの代表取締役・佐伯公平様にお話を伺います。

 

原材料価格や物価が上昇する中、安定供給を続けるために、在庫量を従来の最大1.5倍まで増やす方針を決めた株式会社ピースアップ様。しかし、既存の倉庫ではその物量を受け入れる余地がなく、日々の入出荷を止めることなく、速やかに大きな倉庫へ移転しなければならないという課題に直面していました。

 

なぜ三協に相談し、どのように移転を進めたのか。そして、移転後の物流はどう変わったのか。6か月にわたる倉庫移転プロジェクトの舞台裏と、「1日1,000件の壁」を突破した物流改善の成果について、現場のリアルな声をお届けします。

ナフサ高騰と物価上昇を受け、在庫を最大1.5倍へ。事業戦略の実行に不可欠だった倉庫移転

―― はじめに、ピースアップ様の事業について教えていただけますか?

私たちは大阪を拠点に、防災用品や防災備蓄品の企画・製造・販売を手がけている会社です。防災セットや非常食、保存水、簡易トイレ、ライト、蓄電池、避難用品など、幅広い商品を取り扱っています。一般のご家庭だけでなく、企業や自治体などへの販売にも対応しています。

 

防災の日や、実際に大きな地震が発生した直後などは、ご家庭や自治体、企業からの注文が一気に増加します。そうしたとき、お客様は「今すぐ備えたい」「少しでも早く安心したい」という思いで商品を探されています。その不安にできる限り早く応え、必要な防災用品を確実にお届けすることが、私たちの社会的な使命だと考えています。

―― 今回、倉庫移転のプロジェクトに至った経緯を教えてください。

ナフサ価格の高騰をはじめ、原材料費やさまざまな物価が上昇する中で、今後も安定して商品を供給していくためには、調達方法と在庫の持ち方を見直す必要がありました。

そこで、必要な商品を適切なタイミングで確保できるよう、将来的に物流量を従来の最大1.5倍まで増やし、在庫を積み増す方針を決めました。

 

しかし、既存倉庫はすでにかなり手狭になっており、それだけの物量を受け入れる余地がありませんでした。事業戦略を実行し、今後も安定供給を続けていくためには、できるだけ早く、より大きな倉庫へ移転する必要がありました。

―― 自社だけで移転計画を立てるのは難しかったのでしょうか?

難しかったですね。

 

倉庫の移転は、一般的な事務所移転とはまったく別物です。現在どれだけの在庫があるのか。新倉庫のどこに何を配置するのか。何台のトラックを何日間手配するのか。それらを正確に計画しながら、お客様への納品や販売機会に影響を出さないよう、日々の入出荷もできるだけ止めずに進めなければなりません。

 

少しでも物量や作業時間の見込みがずれると、

「トラックが足りない」

「作業員の手配に無駄が出る」

「予定日までに終わらない」

「移転先に商品が収まりきらない」

といった問題につながります。

 

また、社内スタッフには通常業務もあります。移転のためだけに大きな負担をかけ続けたり、毎週末(土日祝)の作業をお願いしたりすることも現実的ではありませんでした。

 

さらに難しいのは、単に在庫を新倉庫へ運べば終わりではないことです。

よく出る商品とそうでない商品の配置、備品や梱包資材の置き場、作業スペースや通路の確保まで考え、移転後も入荷・保管・出荷を効率よく行える倉庫にしなければなりません。

 

当社には、倉庫移転を専門的に設計・管理できる人材がいたわけではありません。

通常業務を維持しながら、物量、車両、人員、スケジュール、商品配置、移転後の運用までを含めた計画を、自社だけで正確に組み立てるのは現実的ではないと感じていました。

パレット換算で「ぴたり」と合う移転計画。予算が組みやすい安心感

―― 三協に相談してみて、いかがでしたか?

一番驚いたのは、三協さんが倉庫の現地調査を行い、防災商品だけでなく、軽量ラックやネステナーなどの資材・什器類まで漏れなく実測・確認したうえで、移転対象物をパレット単位に換算し、正確な物量として可視化してくれたことです。

 

「おそらくこれくらい掛かるでしょう」という概算ではなく、「いつ、何を、何パレット、トラック何台で動かすのか」まで具体的に示してくれたため、必要な車両や人員、移転費用が見え、非常に予算を組みやすかったです。

 

しかも、実際にプロジェクトが始まってからも、事前の計画と実績がほとんどズレませんでした。最終的なパレット数まで驚くほどぴたりと合っていて、物流現場を知り尽くしているからこその計画精度だと感じました。

――倉庫図面だけをもとに移転計画や配置計画を立てると、実際の寸法と合わなかったり、移転してみたら棚や商品が収まりきらなかったりすることがありますからね。

はい。三協さんは、移転前の倉庫へ実際に足を運び、棚や柱、通路などを一つひとつ細かく採寸してくれました。倉庫には図面があっても、図面だけでは把握しきれないことがたくさんあります。図面と実際のレイアウトが異なっていることもあれば、いざ現物を動かしてみると、想定以上の在庫が保管されていたということもあります。

 

移転先となる新倉庫も同様です。図面上では十分に収まりそうでも、実際には柱や梁、シャッターの位置、必要な作業スペースなど、さまざまな制約があります。そうした条件を織り込まずに計画すると、「棚が入らない」「商品が収まりきらない」「通路が狭く、フォークリフトが旋回できない」といった問題が、移転後に起こりかねません。

 

三協さんは、図面の確認だけで判断せず、現場を細かく実測し、棚の寸法や商品の特性、フォークリフトの旋回スペース、人の作業動線まで踏まえたうえで、移転後の配置をロケーションマップに落とし込んでくれました。

 

事前に作成してもらったロケーションマップと、移転後の実際の配置がぴたりと一致し、商品や棚があふれることなく、限られた空間にきれいに収まったときは、本当に頼もしく感じました。

引っ越し計画書を作って終わりではない。自らフォークリフトに乗り、最前線で見本を示す

―― プロジェクトの進め方はいかがでしたか?

計画をつくるだけでなく、誰が担当しても迷わず進められるよう、具体的な移管手順書まで作成してくれたことが大きかったです。

 

倉庫移転は、レイアウト図が完成すれば終わりではありません。

「旧倉庫から何を、どの順番で出すのか」

「新倉庫のどのロケーションへ、どのタイミングで入れるのか」

「通常出荷への影響を抑えながら、どう進めるのか」

実際の現場では、細かな判断の連続になります。

 

三協さんが作成してくれた移管手順書には、移転前に準備すること、旧倉庫で行うこと、新倉庫で行うことが、作業の順番に沿って具体的に記載されており、その手順どおりに作業すれば、在庫が自然と正しい場所へ収まるように設計されていました。

 

現場で悩んだり、こちらで判断したりする場面がほとんどなかったため、通常業務を続けながらでも、無理なく移転を進めることができました。

―― 当時は、フォークリフト作業に慣れた方がいなかったそうですね。

そうなんです。移管手順書によって全体の流れは明確になっていましたが、当時の当社には、大規模な移転作業をこなせる熟練のリフトマンがおらず、倉庫移転を経験した社員もほとんどいませんでした。

 

精緻な計画があっても、「実際に荷物が動き始めたとき、本当にトラブルなく回し切れるのか」という不安は、どうしても残っていました。その状況を見て、三協さんは、離れた場所から指示を出すのではなく、自らフォークリフトに乗り込み、最前線で重量物の移動を担ってくれました。

 

難易度の高いリフト作業を引き受けながら、

「どの荷物を、どういう順番で動かすのか」

「周囲のスタッフが、どのように連携すればよいのか」

を、実際の動きで示してくれたんです。

 

移管手順書を作った本人が、現場で見本となる動きを最前線で見せてくれたことで、スタッフ全員が自分の役割を視覚的に理解し、迷うことなく作業に入れました。

 

計画を具体的な実行手順にまで落とし込み、さらに現場で一緒に動きながら、作業の見本まで示してくれる。社内に倉庫移転の経験者や熟練のリフトマンがいない当社にとって、非常に心強い存在でした。

「40パレット」が、実際には「150パレット」。新倉庫に入り切らない危機

―― 移転中に、想定外の問題もあったそうですね。

旧倉庫の一部に、荷物があまりにも詰め込まれていて、奥まで物理的に確認できないエリアがありました。当初、旧倉庫側からは「40パレット程度」と聞いており、その数字を前提に、三協さんにも移転計画を立ててもらっていました。しかし、そのエリアは荷物で塞がれていたため、三協さんでも事前に実測や数量確認ができませんでした。

 

実際に移転作業で商品を引き出してみると、そこにあった在庫は約40パレットではなく、なんと約150パレット。想定より110パレットも多い在庫が出てきたんです。新倉庫については、将来的に在庫量を最大1.5倍まで増やすことも見込み、余裕を持った収容計画を立てていました。

 

それでも、突然110パレット分の在庫が増えるとなると話は別です。このままでは、新倉庫にすべての商品を収めきれないという、非常に厳しい状況になりました。

―― そのとき、三協のコンサルタントはどのように対応しましたか?

状況を知るや否や、すぐに対応策を考えてくれました。新倉庫へ無理にすべてを詰め込むのではなく、旧倉庫の一部を当面借りながら、新旧2拠点を効率的に併用し、段階的に在庫を移していく方法を提案してくれたんです。

 

さらに、旧倉庫側との交渉にも同席し、当社と一緒に話を進めてくれました。もし当社だけで交渉していたら、「新倉庫に入り切らないため、何とか保管を続けてほしい」という一方的なお願いになり、保管条件や費用面で厳しい内容になっていた可能性もあります。

 

また、保管スペースの使い方や在庫移管の進め方など、専門的な内容を当社だけで整理し、対等に交渉することにも難しさがありました。三協さんが物流・倉庫の専門家として間に入ってくれたことで、旧倉庫側の運用にも配慮しながら、保管スペースの実情や今後の移管スケジュールを踏まえた、現実的な協議を進めることができました。

 

その結果、旧倉庫の一部を当面借り続け、新旧2拠点を併用しながら、段階的に在庫を移していくという、お互いに納得できる形で合意できました。

 

予定外の問題が起きたときに、当初の計画に固執せず、すぐに代替案をつくり、関係先との交渉まで一緒に進めてくれた。そこに、三協さんの本当の頼もしさを感じました。

旧倉庫側とも角を立てることなく合意でき、現在も大変良好な関係を続けられています。

最大1,200件でも出荷制限ゼロ・出荷ミスゼロ。「必要な時に届け切る」物流へ

―― 移転後、出荷体制はどのように変わりましたか?

一番の成果は、長年現場の課題だった「1日1,000件の壁」を、無理なく突破できる体制が整ったことです。直近で受注が集中した際も、スタッフ数を増やすことなく1日1,200件のEC出荷を出荷制限なしで完了させた実績があり、現場にはさらに対応できる余力が残っています。

 

防災用品は、防災の日や大きな地震が発生した直後など、防災意識が高まったタイミングで、短期間に注文が集中します。以前は、物量が一時的に大きく増えた際、出荷が追いつかず、お客様をお待たせしてしまうことがありました。

 

今回の移転では、倉庫を広くしただけでなく、商品の配置や作業動線を見直し、保管と出荷の両面からキャパシティを拡張しました。その結果、物量が増えても現場が混乱することなく、スピードと品質を両立しながら出荷できる体制をつくることができました。

―― 防災用品を扱う会社にとって、この成果には特別な意味がありそうですね。

単なる出荷スピードや物流効率の向上ではなく、私たちが果たすべき社会的な使命を、より確実に果たせる基盤が整ったことに、最大の意味があると考えています。大きな地震などが発生すると、多くの方が「自分の備えは大丈夫だろうか」「大切な人を守れるだろうか」と、強い不安を抱かれます。

 

その不安の中で私たちを頼ってくださったお客様を、発送の段階で長くお待たせすることは、防災に携わる企業として、できる限り避けたいと考えていました。

 

1日1,200件という数字も大きな成果ですが、それ以上に、注文が集中した状況でも出荷制限を設けることなく、必要とされている商品を誤出荷ゼロで届け切れたことに価値を感じています。

ここまでコストパフォーマンス高く、現場に伴走してくれる物流サービスは、聞いたことがない

―― 最後に、倉庫移転や物流改善を検討している企業へメッセージをお願いします。

倉庫移転は、単に「荷物を新しい場所へ運ぶ作業」ではありません。在庫量を正確に把握し、移転後の最適な配置を設計する。必要な車両や人員を手配し、通常出荷への影響を抑えながら、計画どおりに移転を完了させる。さらに移転後は、これまで以上にスムーズな入出荷を実現できる現場をつくる必要があります。どこか一つでも計画が甘ければ、想定外の事態が起きた瞬間に、プロジェクト全体が止まってしまう。それが倉庫移転の難しさです。

 

三協さんの物流改善コンサルティングは、きれいな図面や計画書を作って終わるサービスではありません。実際に現場へ入り、棚や柱、通路を細かく測る。移転後のレイアウトを設計し、誰でも迷わず動ける移管手順書を作る。さらには自らフォークリフトに乗って現場を動かし、予期せぬ問題が起きれば関係先との交渉にも一緒に入り、解決まで導いてくれました。

 

「アドバイスをくれる外部コンサル」ではなく、「移転を成功させ、その後の物流が無理なく回り続けるところまで、泥臭くやり切ってくれるパートナー」だと感じています。

 

そもそも、倉庫移転を直接サポートしてくれるサービス自体が、それほど多くありません。サービスがあったとしても、計画や設計までで、実際の移転作業や関係先との交渉にまで踏み込んでくれるケースは少ないと思います。

 

倉庫移転はリスクを伴いますが、物流を根本から強くする絶好の機会でもあります。ただ、それを確実な成果に変えるためには、机上の計画だけでなく、現場を本当に動かせるプロが欠かせません。

 

ここまで深く現場に入り、計画から実行、想定外への対応まで、責任を持って最後までやり切ってくれるサービスは、本当に稀だと思います。コストパフォーマンスも抜群だと思いました。倉庫移転を検討している企業はもちろん、今の物流に課題や不安を感じている企業にも、ぜひ一度相談してみることをおすすめします。

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倉庫レイアウトの重要性や、改善のポイントを動画で確認したい方は、以下の動画をご覧ください。物流のプロの視点から、倉庫レイアウトの重要性や、改善のポイントを分かりやすく解説しています。

企業情報

事業内容
防災用品、防災備蓄品、消防・操法装備品、消防機材、救命用品の販売及び企画
取扱いアイテム数
約2,200種類

株式会社ピースアップ

大阪を拠点に、防災・消防・救命用品を企画・販売。防災士や災害備蓄管理士が在籍しており、専門知識に基づいた減災対策の支援体制を構築している。自社ECサイトのほか楽天、Yahoo!、Amazonでも展開。

記事の作成者

株式会社三協|EC・D2C物流 専門チーム

三協は、1968年の創業以来57年・累計1,000社以上のEC・D2C事業者の物流を支えてきた物流のプロ集団です。物流設計の専門家「ストレージプランナー」と物流専門SE が一体となり、自社開発WMS「SANTA」を核に誤出荷ゼロを継続中。化粧品・スイーツ・アパレル・医療機器など多品種の現場経験をもとに、物流の基礎知識・運用改善・コスト削減のノウハウを発信しています。

  • ※物流技術管理士資格取得者在籍