EC事業者が物流倉庫を外部委託するべき理由!委託先の選び方も!
急激な国内EC市場の拡大により、物流業務を外部委託する企業が増えています。EC事業者にとって入出荷の拠点である物流倉庫の存在は事業継続に必要不可欠です。しかし物流倉庫はその確保と維持に膨大なコストが掛かるため、気軽に導入したり場所を変更したりすることが難しい施設でもあります。そこで、今回はEC物流の特徴を明らかにし、物流業務を外部の倉庫会社に委託するにあたって、そもそも何故物流業務を代行してもらうべきなのか、また物流倉庫選びのポイントについて解説します。
物流倉庫の外部委託が必要なEC業界

ECを取り巻く現状は、ITの急激な進歩に伴うデジタル化により、ネット通販の普及をもたらしました。また近年は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、おうち時間が増えた人が多く居た影響で、2021年はECのみの売り上げが前年比で約10%増の15兆1127億円になることが予想されています。事業者と利用者の意識と環境が変化したことによって気軽なEC利用が根付き、ECサイトを利用した通販ショッピングは、すでに生活の一部として欠かせないものになっています。
しかし利用者の増加と市場の拡大は、単純に取引量が増えて産業が活発化するというプラス面だけでなく、物流現場に多大な負担が生じるというマイナス面もあります。実際に宅配便取り扱い個数は、2015年は約37億個だったものが2020年には約48億個にまで増加しています。配送業者の負担も然る事ながら、入庫・検品・梱包作業を行う倉庫作業員の負担も年々増加しているため、増え続ける商品を扱うためには、EC事業者側の物流に対する捉え方を時代に合わせて大きく転換していかなければなりません。
EC物流を取り巻く環境の変化と求められるもの

EC物流の現場では、人手不足や商品数の増加など、さまざまな課題が深刻化しています。特に、配送業者や倉庫スタッフの負担増加は、現場の安定運用を大きく揺るがす要因となっています。
代表的な例として、Amazonによるプライム配送の影響があります。即日・翌日配達サービスは利用者にとって便利な一方で、配送業者にとっては大きな負担となりました。取扱量が増える中で単価が下がり、佐川急便はAmazonからの撤退を決断。残ったヤマト運輸も人手不足により運賃を引き上げ、結果としてAmazonは配送先を分散させる新たな物流体制を構築し始めました。
このような背景から、EC事業者も自社だけで対応するのが難しくなってきています。物流業務の一部を外部に委託し、必要なリソースだけを効率的に活用する動きが加速しています。倉庫やセンターを自社で抱える体制からの切り替えは簡単ではありませんが、最低賃金の上昇や雇用環境の変化により、アルバイトや派遣スタッフの確保も難しくなっています。
今後のEC物流においては、人手不足に陥ってからではなく、早めに外部委託やシステム導入などの対策を講じることが重要です。
EC物流倉庫の外部委託が必要な理由
ではなぜ、EC物流の倉庫業務には外部委託が必要なのでしょうか。EC事業は今後も主要産業として成長が期待される中、物流を自社でまかなうには限界があります。委託が必要とされる大きな理由は、コストの増加と人材不足への対応です。
物流コストには、輸送費・保管費・人件費(荷役、流通加工、梱包など)が含まれますが、とくに人件費は大きな負担になります。自社で人員を抱えると、繁忙期と閑散期で必要な人数が大きく異なり、人手不足と余剰の波が生じやすくなります。一方、外部委託であれば、必要なときに必要な人員を柔軟に確保でき、物流経費の可視化もしやすくなります。
三協では、新人でもすぐ作業できるシンプルで精密なマニュアルを整備しており、教育コストも削減可能です。作業量の多い繁忙期には他の営業所から応援スタッフを派遣でき、さらに楽天スーパーセールのような一時的な注文増にも入出荷制限なく対応できます。
このように、専門の倉庫会社に物流業務を委託することで、人件費の最適化、教育負担の軽減、突発的な業務にも柔軟に対応できるといった、多くのメリットが得られます。
物流倉庫を外部委託するメリット・デメリット
物流倉庫を外部委託することのメリットとデメリットを紹介いたします。導入時には料金以外の要素も考慮に入れて物流会社を選定することが重要です。
物流倉庫を外部委託するメリット
1. 固定費の削減と変動費化
自社で倉庫を構える場合、家賃・人件費・設備投資などの固定費がかかります。
外部委託に切り替えることで、物量に応じた変動費に移行でき、コストの最適化が可能です。
2. 専門ノウハウを活用できる
物流会社は、検品・棚入れ・ピッキング・梱包などの倉庫内オペレーションの専門家。
繁忙期の波動対応やミス削減など、品質と安定稼働を両立させる体制が整っています。
3. 自社リソースの集中
物流業務を委託することで、社内の人員や時間をコア業務(商品開発・マーケティングなど)に集中できます。
4. EC向けに柔軟な対応が可能
ギフト包装、同梱物封入、定期通販など、EC特有の複雑な出荷対応にも柔軟に対応できる委託先を選ぶことで、顧客満足度も向上します。
物流倉庫を外部委託するデメリット
1. 自社内の即時対応が難しくなる
在庫状況や出荷の細かな調整を、自社倉庫であればすぐに対応できる一方で、委託先との連携が必要になります。
2. コントロール感の喪失
物流を完全に外部化することで、「現場の空気感が見えない」「柔軟な指示が通りにくい」といった心理的な不安を感じる企業もあります。
3. 委託先選びを間違えると逆効果
物流品質は委託先の体制・ノウハウに左右されるため、誤出荷が多い・柔軟性がない会社に依頼すると、ブランド毀損につながるリスクがあります。
自社倉庫のメリット・デメリット
ここでは、自社で物流倉庫を運営する場合のメリット・デメリットを整理し、倉庫運用のあり方を見直すヒントをご紹介します。
自社倉庫のメリット
1. 業務全体を自社でコントロールできる
在庫数・作業手順・出荷タイミングなどをすべて自社判断で柔軟に対応可能。緊急の出荷や社内イベントにも即対応できます。
2. 社内に物流ノウハウが蓄積される
現場運用や出荷フローを自社で設計・運用することで、商品特性や販売チャネルに合わせた細かな改善や知見が蓄積されていきます。
3. ブランディングや顧客対応に直接反映できる
ギフト包装や同梱チラシなどの「届け方のこだわり」を自社基準で設計・実行できるため、ブランド体験を重視する企業には有効です。
自社倉庫のデメリット
1. 固定費負担が大きい
倉庫の賃料、人件費、設備投資、システム導入など、物流にかかるコストがすべて固定費として発生し、売上変動に対して柔軟に対応しづらくなります。
2. 人手とリソースの確保が難しい
スタッフの採用・教育・管理まで自社で行う必要があり、繁忙期や急な欠員に対応しにくいリスクがあります。
3. EC物流特有の要求に対応しづらいケースも
定期通販やモールごとの出荷仕様など、EC特有の細かな業務に対応するにはシステムや体制の整備が不可欠。ノウハウがない場合は品質が安定しません。
EC物流倉庫の外部委託先の選び方3つ
EC物流の担当者が物流倉庫を選ぶときの3つの基準についてお伝えします。

物流倉庫の選び方(1)立地条件を確認
物流倉庫は、在庫保管場所としての役割や配送による入荷・出荷の運搬をする役割を持つ施設です。どこに流通の拠点を置くかによって、物流効率は大きく異なります。三協の営業所は北摂、東大阪、奈良エリアに9カ所あり、いずれも大阪市内より約30分と好立地でアクセス抜群です。
運送会社が集荷しやすい倉庫エリアを確保することで、パートナー運送業者様からも運送料金面で非常に柔軟な対応を頂いています。
また、こうした課題を解消する手段として最適なのが、在庫の一元管理システム独自の情報網で物流倉庫に向いている既存物件を見つけ出し、ムダのないEC物流倉庫に生まれ変わらせることで保管料を低価格にすることを実現しています。

物流倉庫の選び方(2)設備投資、サービスを確認
物流センターの選び方として2つ目の基準が設備投資です。設備というのは物理的な設備機能のことだけではなく倉庫管理システム(WMS)なども含み、物流サービスの質を向上するのに欠かせない要素となります。EC物流倉庫の外部委託を行う際には、特にWMSの種類や特徴は把握しておくのが鉄則です。物流特化型の自社SEを抱える三協では、企業様毎にWMSの完全カスタマイズを行っています。
プログラムの設計から実装までの全ての開発工程を自社で行うことにより、スピーディーかつ低価格でのWMS提供が可能になるのです。WMSの実装により、ギフト包装やサンプル・チラシの封入、売れ残った商品で福袋の作成など、様々なサービスに対応できるようになります。また三協のWMSでは、楽天やAmazonなどのモール型システムや、スマイルやアラジンオフィスなどの基幹システムとも連携可能です。業務を委託する物流倉庫を選ぶ際に、どれだけ事業者に寄り添ったシステムやサービスを用意してくれるかが、物流品質向上のために重要な項目となってくるでしょう。
→WMSについてはこちら

物流倉庫の選び方(3)取り扱っている商品を確認
ポイントを見極めることが難しい場合は、業務委託を検討している倉庫で自社が扱う商品と類似した商品を取り扱っているかを見てみると良いでしょう。類似した商品がどのように取り扱われているか、どのようなオペレーションでスタッフが動いているのかを見ることで、安心感を持つことが出来ます。
例えば、アパレルであればアイテム数が多岐にわたり、サイズやカラー展開が豊富なので自動的にSKU数が多くなります。アパレルは、サイズが合わなかった、などの理由で返品が比較的多くなっており、タグなどが無くなって返ってきた商品をリバイバルし、販売機会を逃さないよう直ぐ出荷出来るようにするためには、徹底された業務フローと柔軟な倉庫管理システムの構築など、アパレル物流ならではのノウハウが必要になります。
さらに三協では、日本以外への商圏となる越境ECでの天猫国際、京東(JD)、唯品会、ebayとの連携もスピード対応しています。数年前から越境EC支援をさせて頂いているアパレル事業者様は1日で通常の100倍の売り上げを叩き出すなど、成功を収められています。
EC物流代行会社に委託できる主な業務
EC物流代行会社では、商品が入庫してから顧客に届くまでのあらゆる物流業務を一括でアウトソーシングすることが可能です。
とくにECにおいては、正確さ・スピード・柔軟性が求められるため、代行による安定運用は事業継続の大きな支えとなります。
1. 入庫・検品
仕入れ先や工場から届いた商品の数量や状態を確認し、破損・不備のチェックを行います。
2. 保管
温度・湿度管理やSKU別の棚入れなど、商品特性に応じた適切な保管環境を整えます。
3. ピッキング・梱包
受注情報と連携し、商品を正確に取り出し、商品に合わせた丁寧な梱包(ギフト対応・同梱物封入など)を行います。
4. 発送処理
注文データに基づいて送り状を発行・出荷登録。出荷スピードやタイミングも柔軟に対応できます。
5. 配送手配
配送業者(ヤマト・佐川・日本郵便など)と連携し、最適な配送プランでスムーズにお届けします。
6. 在庫管理
WMS(倉庫管理システム)を活用して、リアルタイムで在庫数を可視化・共有。在庫差異を防ぎます。
7. 顧客対応
配送状況や返品に関する問い合わせなど、購入者からの対応代行も可能な場合があります。
8. その他の周辺業務
請求書・納品書の同梱、実績データのレポート化、返品処理、棚卸サポートなど、EC運営に必要な業務をカバーします。
EC物流代行サービスの料金相場
EC物流代行では、「固定費」と「変動費」に分かれて料金が設定されているのが一般的です。
扱う商材や物流代行業者によって大きく異なりますので、十分に見積もりを比較して選定するように注意が必要です。
EC物流代行サービスの導入事例

三協のEC物流代行サービスを導入された事例をご紹介いたします。
化粧品メーカーA社は、ECでの直販拡大に伴い、誤出荷や細かな同梱対応の不備に悩んでいました。定期購入者ごとにチラシやノベルティを変えたかったものの、前委託先では正確な対応が難しく、物流品質にも課題があったそうです。
三協に委託後は、自社WMS「SANTA」を導入し、バーコードによる商品管理と誤出荷ゼロ体制を構築。そうすることで受注・出荷・在庫の一元管理が実現しました。
また、返品処理やロット管理もシステム化され、初回・2回目・3回目といった購入回数に応じた同梱物の細かな対応も可能に。
出荷波動や急な対応にも柔軟に対応できる体制が整い、今では越境ECやBtoB物流の拡張も視野に入れているとのことです。
まとめ
今回は、EC物流の現状や物流業務代行が必要な理由、そのうえで物流倉庫の選び方について解説しました。EC物流の現場は人手不足や商品数の増加で業務多忙となっており、今後もその傾向が続くと予想されます。現場の負担を減らし、今後のEC事業の発展に向けて物流アウトソーシングも視野に入れることが必要です。
物流センターの選び方では、3つの条件を見極めて適切な拠点の確保やアウトソーシングの利用を検討する事が大切です。気になる物流会社があれば、積極的に問い合わせて見積もり等を出してもらうようにしましょう。その際に対応をしてくれるスタッフが親身になって話を聞いてくれるか、具体的な提案があるか、様々な仮説を立てて話してくれるか、これらの項目も物流業務の委託先を選ぶ上で重要と言えます。
三協では多様な現場を経験したスタッフが、企業様毎に適した解決策を導き出します。物流倉庫での円滑な業務フローはもちろん、顧客満足度を上げるための同梱物の提案まで、企業様に強くなって頂くために協力させて頂きます。是非一度弊社の倉庫見学会へお越しになり、実際の倉庫現場をご覧ください。
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