EC物流をアウトソーシングするべき理由4つ!導入メリットや注意点も
EC物流アウトソーシングとは

アウトソーシングは日本語で「外部委託」という意味で、自社以外の別の事業者(物流企業や専門機関など)に煩雑な入出荷業務の全部または一部を任せることです。
最近のEC事業者は、完全に自社のみで業務を完結させるというケースは稀であり、ECサイトの構築、受注管理の運用、コールセンターでのクレーム対応、倉庫内での保管および入出荷と流通加工、配送業務、代金回収等のどこかでアウトソーシングを利用しています。では、EC事業者にとって物流アウトソーシングの導入が重要なものである理由は何でしょうか。
EC物流のアウトソーシングの導入が重要である4つの理由
ゼロからEC事業を立ち上げる場合、販売するECサイトの構築方法や通信環境、商品を保管する為の倉庫スペースの確保など、さまざまな事前準備が必要となります。中でも小ロットかつ多頻度であるEC物流業務(受注、ピッキング、梱包、発送、在庫管理、返品対応等)には、複雑多岐なノウハウが求められるため、EC物流アウトソーシングの導入は有効な選択肢となります。
理由1.物流ノウハウを補うことができる
EC物流アウトソーシングサービスでは、専用の倉庫設備やシステムを活用し、プロがEC物流業務を効率的に代行します。自社では対応が難しいノウハウや設備も、外部パートナーに任せることで安心です。
たとえばアパレル商材では、サイズ・カラー違いの返品対応が頻繁に発生します。返品品をスピーディに棚戻しできなければ、再販売の機会を逃し、売上ロスにつながります。また、タグ紛失や外装破損など、状態確認やデータ修正を伴う“アナログな手作業”も多く、対応には専門知識が求められます。
こうした複雑な対応は、EC物流アウトソーシングを導入することでスムーズに解消できます。自社でノウハウを蓄積するには時間もコストもかかるため、事業継続の観点からも、早い段階で信頼できる物流パートナーを持つことが重要です。
理由2.業務効率の向上
EC物流アウトソーシングの導入が有効である2つ目の理由は、作業の無駄を減らし、限られた時間の中での業務効率を高めるためです。
例えば、受注管理業務に作業負荷が掛かっている場合、専門の代行業者を利用することが効果的です。特に、楽天やAmazonなど複数のモールに出店している場合、モールの特性を考慮した受注管理ソフトの選定と用意された機能を最大限に活用するアウトソーシング先に受注管理業務を委託することで、出荷対応のキャパが大幅に拡大されることが期待できます。
また、きめ細かいメール設定や後払い審査とのシステム連携など、自社では目が行き届かないことも専門業者であれば対応が可能となるとともに、社内の人的リソースをコア業務に集中させることが可能になります。弊社の取引企業様でも受注管理をお任せいただける企業様は年々増えており、商品開発やマーケティング戦略などの差別化の源泉となるコア業務に集中することで、コロナショック下でも成長スピードを一層加速されています。
→受注代行(受注管理代行)についてはこちら
理由3.物流コストの軽減
EC物流アウトソーシングを導入すると、物流コストを削減することが期待できます。自社で全ての物流業務を実施する場合、人件費や商品を保管するための倉庫や什器など、設備費用に多くのコストがかかります。また、業務マニュアルの作成コストに加え、新人教育や業務内容を変更した際に発生するシステム・設備の改修コストなども不可欠です。
さらに、苦労の末に熟練したスタッフが急な病気などで退職した場合、引継ぎのコストや新しい人材を採用するコストも考慮しなければなりません。場合によっては、引継ぎが上手くいかず物流サービスが急に低下してしまい顧客の満足度が低下することも考えられます。このように、自社で全ての物流業務を維持する場合、金銭的な負担とリスクは決して小さくありません。
EC物流アウトソーシングを利用すると、人件費や設備費用などの物流コストが変動費化することができ、コスト削減に繋がります。また、最低賃金の高まりによる人件費の高騰、引継ぎや退職に関するリスクに頭を悩ませる必要もありません。
理由4.物流サービスのクオリティアップ
ECにおいて物流は、顧客体験を左右する重要な接点です。どれだけ優れた商品やECサイトを構築しても、届いた荷物の検品が甘かったり、梱包が雑だったりすれば、その印象だけでリピートにつながらないこともあります。SNS全盛の今、1件の悪いレビューが広まるスピードは想像以上です。
実際、購入判断の約9割がレビューを参考にしているという調査もあり、物流品質はCRM戦略の根幹とも言えるでしょう。
その一方で、物流を差別化の手段として活かすことも可能です。たとえば、同梱対応や柔軟な返品受付、注文内容に応じたメッセージカードの封入など、「攻めの物流」こそがリピーター獲得のカギになります。
当社では、アパレル企業様に対しては「色・サイズ変更への柔軟対応」、化粧品企業様には「数百種類のチラシ・カード封入対応」をEC物流アウトソーシングとして提供し、売上拡大に貢献しています。
EC物流アウトソーシングの導入事例一覧はこちら
https://www.kk-sankyo.com/case/
EC物流アウトソーシングのメリット
1. 売上チャンスを逃さない柔軟な体制
セールやSNSのバズ投稿など、ECは“突発的に売れる”ことが日常茶飯事です。倉庫を持たないD2Cブランドやスモールスタート企業にとって、出荷遅延は命取り。EC物流アウトソーシングなら、急な注文増にも対応できる人員・設備体制が用意されており、売上機会を逃しません。
2. 人材・ノウハウの課題を一気に解消
梱包ミスやラベル貼り忘れ、在庫差異。どれも“よくあるけど許されない”問題です。専門業者ならWMSによるリアルタイム管理、二重チェック体制、SKU別マニュアル運用などで、「当たり前に正確」な出荷を実現。人を雇って育てる手間もなく、即戦力が最初から稼働してくれます。
3. コストの変動費化で、経営がブレない
ECは売上が月単位でぶれてしまうのが常。しかし、物流を自社内製すると、倉庫家賃・スタッフ給与などが固定費としてのしかかります。EC物流アウトソーシングなら、「使った分だけ」支払う変動費化が可能。経営リスクを抑えながら、成長に合わせた投資ができます。
EC物流アウトソーシングの注意点・デメリット
EC物流アウトソーシングの導入にはメリットがある反面、デメリットも考慮する必要があります。
デメリットの一つ目は、自社でノウハウを蓄積できないことです。物流業務で発生する課題の解決方法や情報の蓄積は自社物流と比較すると少なくなります。
二つ目は、独自サービスやカスタマイズに対応していない物流企業が多い点です。前述のとおり、EC物流アウトソーシングはCRMの差別化として有効な選択肢ですが、信頼できる物流パートナーの選定が不可欠です。事前のヒアリングや、細やかな打合せは必須です。EC物流アウトソーシングを依頼する業者を選ぶときは、現在のニーズや課題をしっかり聞いてくれる会社か、柔軟にシステム対応(カスタマイズやシームレスな連携など)をしてもらえるか、実際に運用している物流倉庫の状況はどうか、などを見て選定すると良いでしょう。
EC物流アウトソーシングの導入事例

三協のEC物流アウトソーシングを導入いただいたお客様の事例をご紹介させていただきます。
米国発フィットネスアパレルの日本展開にあたり、Gorilla Wear Japan様はECに初挑戦。物流の知識がなく不安を抱える中、三協の「わかりやすく、丁寧な対応力」と「Shopify連携などのシステムサポート」に惹かれ、EC物流アウトソーシングを導入しました。
初回の入荷ではタグ違いや梱包ミスが多発しましたが、現場対応でリカバリ。以降、誤出荷・在庫差異ゼロの運用を1年以上継続し、販売データの蓄積にもつながっています。
「物流のことが何もわからなくても、安心して任せられた」と語る同社。EC初心者の方やD2C立ち上げ企業様にとって、三協のような伴走型物流パートナーの存在が事業成長の鍵となっています。
EC物流アウトソーシングを導入するべき企業の特徴
1.モール、自社EC、SNS販売など、複数チャネルで展開している
→各チャネルごとに在庫・梱包仕様・配送方法が異なる場合、統合管理ができる委託先は非常に有利です。
2.SKU数が多い、または季節波動が激しい
→SKUごとの棚番・在庫管理が乱れがちなアパレル系などにこそ、正確なWMSと棚入れ体制が活きます
3.誤出荷や遅延がブランドイメージに影響する
→SNS時代の今、たった1つのミスが炎上に発展するリスク。経験豊富な倉庫パートナーが保険になります。
4.今後、越境ECや定期通販への拡張を考えている
→多言語対応・ロット管理・同梱チラシ・ギフト包装など、将来を見越した柔軟性が求められるなら外部化が賢明です。
EC物流アウトソーシングの選び方
1.WMS連携の柔軟さ
モール・カートシステムとの自動連携が可能か。在庫同期・発送通知の精度がEC運営に直結します。
2.実績と得意領域の一致
自社の商材ジャンルに近い事例があるかどうか。アパレル・コスメ・雑貨など、対応力に差が出ます。
3.繁忙期・突発需要への対応力
人材のシフト体制や別拠点からの応援体制があるかどうかは、リスク対策として重要です。
4.単なる“運び屋”ではなく、改善提案してくれるか
誤出荷分析や梱包改善、返品率の削減など、物流からマーケティングに貢献してくれるパートナーが理想です。
EC物流アウトソーシングの費用感
費用は業者によって異なりますが、基本的には以下の構成が一般的です。
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初期費用:導入設計・システム連携設定など
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月額基本料:保管スペース・WMS利用料
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従量課金:入出庫、ピッキング、梱包、発送ごとの単価
重要なのは、「いくらかかるか」ではなく、「自社でやるよりも、いくら安定して、正確にできるか」という視点です。
人的コストや設備投資、機会損失リスクまで含めると、
実は費用対効果は非常に高い施策と言えます。
まとめ
今回は、EC物流でアウトソーシングを重視するべき4つの理由について解説しました。EC物流アウトソーシングを活用すると、ノウハウが不足している事業者でも、大手ECショップと遜色のない効率的な物流施策が可能となります。また、選定するパートナー次第では大手ショップがまだ実現できていないようなCRMの差別化を物流面から実現できるという非常に大きな可能性を秘めています。
さらに、業務効率やコスト面、クオリティ面などに配慮したサービスの実施など、EC物流アウトソーシングを取り入れることによってこれからECに参入しようとしている事業者の競争力は大きく高まります。特に多SKU、ロット対応、入荷即出荷、返品対応、多店舗展開、越境EC、賞味期限管理、オムニチャネル対応などは倉庫作業に大きな負担がかかるため、代行を依頼することで効率的に事業を運営することができます。自社内ですべて対応する前に、EC物流アウトソーシングの選択肢もぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ポイント解説!EC物流を外部委託するときの選び方
https://www.kk-sankyo.com/case/column_20211102/
【プロが解説】EC物流とは?
仕組みや課題、EC物流の改善ポイントを徹底解説
https://www.kk-sankyo.com/case/eclogistics/