医療機器物流・メディカル物流

基幹システムを一切変えることなく、精度の高い医療機器物流を実現

数多くの医療機器事業者様とお話をしていると、「いま使っている基幹システムを変更すると受発注などの業務オペレーションが大きく変わってしまうため、物流アウトソーシングを検討出来ない」ということがよくあります。

三協であれば、当社の倉庫管理システム（WMS）にお客様のシステムを合わせる必要は全くありません。

反対にお客様の受発注システムや生産管理システムにフィットする形で三協のシステムをカスタマイズするため、現状の仕事のやり方（基幹システムのデータの持ち方、病院からの受注フロー、医療メーカーへの発注ルールなど）を何一つ変えることなく、効率的な入出荷や精度の高い在庫管理を実現することが可能です。

当社に物流を委託されている医療機器事業者様からは「物流を外部委託しているが、緊急出荷や細やかな返品対応（本社戻しとメーカー戻しで返品ルールが異なるなど）について臨機応変に対応してもらえており、まるで自社物流のよう」と評価いただいております。

完璧なロット管理とトレーサビリティ管理

医療機器は「ロットが違えば商品が違う」と言われるほど、厳格なロット管理やシリアル管理が必要とされます。
また、薬機法において、医療機器の安全性やリスク管理のために、トレーサビリティ管理（どのロット／シリアルの製品がいつ、どこに出荷されたのか）が義務付けられています。

三協の医療機器物流ではさらに一歩踏み込み、以下のようなシステム制御も可能です 。
「１つの出荷先に対して複数のロットがまたがらないようにシステムで引当を制御する」
「原則先入れ先出しで出荷しつつも、特定の納品先については別に定めた消費期限を持つ商品を優先的に引き当てる」

また、機器の滅菌期限等の管理や使用回数のトレーサビリティなども含めて細かい条件設定をシステム内に組み込むといったことも柔軟に対応できます。

さらに、たとえば医療機器卸様の場合、全く同じ商品でも仕入れ単価が頻繁に変わるということは珍しくありません。
三協では、QRコードやバーコードを読み込むことによりロットや消費期限を管理することに加え、商品入荷時に“伝票上の単価データ”と“基幹システムから抽出した発注データ”を突き合わせ、金額のチェックまで自動的に行う仕組みも構築しております。

GDPガイドラインに則った
温度管理とモニタリングを実践

医療機器物流においては、医療機器に加えて、体外診断用医薬品（診断薬）など薬機法上の「医薬品」に分類される製品を取り扱うケースも一般的です。

厚生労働省のQMS省令（「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理基準」）においても、医療機器と体外診断薬は同一の品質管理基準で運用されることが前提とされています。

医薬品については、厚生労働省が定める「医薬品の適正流通（GDP）ガイドライン」に基づき、流通段階でも品質や安全性を維持することが義務づけられています。
また、より具体的な細かい温度帯は「第十八改正日本薬局方」（医薬品の品質試験や保存条件などを定めた公的基準）に基づいており、
・標準温度：20℃
・常温：15～25℃
・微温：30～40℃
といった保存条件のもとでの厳密な温度管理が求められます。

三協の医療機器物流においては、QMS省令や国際規格であるISO13485の考え方に加えて、GDPガイドラインや第十八改正日本薬局方の基準に準拠した温度管理体制を構築しています。

倉庫内では温度区画を細かく設定し、温度ロガーおよび環境モニタリング機器による24時間365日体制のリアルタイム監視・自動記録を実施しています。設定温度を逸脱した場合には即時にアラートが発報され、原因分析および是正措置（CAPA）が速やかに行われる仕組みを導入しています。

さらに輸送中も、外部運送業者との温度データ連携により、医薬品メーカーの出荷から薬局・クリニックなどの届け先まで、温度逸脱のない一貫した流通を実現。医療機器についても、製品特性に応じて最適な温度帯での保管・輸送管理が可能です。

ランサムウェアや標的型攻撃など、
サイバーリスクに強い物流ネットワークを構築

近年、ランサムウェアや標的型攻撃など、サイバーリスクに関する脅威が急速に増加しています。病院側や医療機器の販売側がどれほど入念にセキュリティ対策を講じていても、その間をつなぐ物流システムが汚染されてしまっては意味がありません。

だからこそ、物流ネットワーク自体が「止まらない構造」であることが求められます。
三協では、インターネットから完全に切り離した社内ネットワーク＋デスクトップアプリ構成にも対応しており、閉域環境での運用によって外部からの侵入リスクを最小化しています。

一方で、複数拠点を持つ企業様や、クライアントが進捗確認を行いたいケースでは、安全性を担保したWebアプリ構成にも対応しています。

当社には、WMS（倉庫管理システム）開発・ネットワーク構築・セキュリティ運用に長けたエンジニアが多数在籍しており、その技術力を生かして、通信ポート・仮想ネットワーク・ファイアウォールルール・アクセス制御などを細部まで構築・チューニングすることで、リスクを限りなく減らす設計を行っています。

さらに、
• WAF・UTMなどのセキュリティゲート導入
• 全業務用PCのWebアクセス制限と運用ルールの徹底
• 定期的な脆弱性診断とバックアップ／ロールバック体制の整備
• アラート発報から監視・初動対応までの一連の仕組み設計
といった機能面と運用面を統合したトータルセキュリティ対策を実施しています。

それでも、リスクをゼロにすることはできないため、当社では発生時の初動の速さと復旧力を重視しています。システムが一時的に停止した場合でも、倉庫内ではアナログ運用への即時切り替えが可能な体制を整えており、医療現場への供給を絶やさない“最後の砦”として機能し続けています。

土日祝を含む柔軟な出荷体制で、
緊急性の高い医療機器物流に対応

医療機器物流においては、必要なときに確実に届くことが何よりも重要です。特に、手術材料や診断機器、検査キットなど、緊急性の高い医療機器を扱う病院やクリニックでは、休日や祝日を問わず、安定した供給体制が求められます。

三協では、土日祝や長期休暇（GWやお盆など）を含む柔軟な出荷体制を整備しており、突発的な注文や追加出荷の依頼にも、最短で対応できる仕組みを構築しています。
「週末に急に手術で必要になった」
「検査機器の在庫が急減した」
といった場面でも、確実に現場へ届けられる運用を実現しています。

また、他システムとの連携トラブルによるデータ遅延や、急遽入庫した商品の即日出荷など、通常のフローでは対応が難しいケースでも、カスタマイズされたWMSの柔軟な制御と現場判断を組み合わせることで、出荷を止めずに処理しています。

さらに、この柔軟な出荷体制により、楽天の「最強翌日配送ラベル」、Amazonの「マケプレプライム」、Yahoo!ショッピングの「優良配送ラベル」を取得することも可能です。

また、こうした高い出荷対応力は、医療機関向けのBtoB物流だけでなく、一般消費者向けの医療機器ECにおいても高く評価されています。

近年では、血圧計・体温計・パルスオキシメーターなど、一般消費者向けにEC販売される管理医療機器も増えており、医療機器EC事業者様からは「配送品質の可視化によりユーザーの信頼が高まり、管理医療機器のEC販売を拡大できた」との評価をいただいています。

分断された在庫をつなぐ。VMIで
叶える“止まらない医療機器物流”

医療機器物流では、部品サプライヤー・製造販売業者・医療機器卸・病院など、複数の事業者がそれぞれ全国各地に複数の拠点を持ち、在庫を保有しています。製品ロットやシリアル単位での厳格な管理が求められる一方で、各社が独自のシステムや運用ルールで在庫を管理しているケースも少なくありません。

その結果、「どの拠点に・どのロットの在庫が・どれだけ残っているのか」がリアルタイムで見えづらく、医療機関からの急な需要に即応できず欠品を招いたり、逆に販売状況を把握しきれず在庫を積み増してしまうといった課題が発生しやすいのが現実です。

三協では、サプライチェーン全体として最適な在庫配置を実行するために、VMI（ベンダー管理在庫）の考え方を取り入れた在庫運用にも対応しています。

医療機関や販売代理店などと在庫データを共有し、消費実績や販売傾向をもとに自動的に補充・最適化を行うことで、過剰在庫を抑制し、ジャストインタイムでの納入や在庫回転率の向上を実現しています。

さらに、複数拠点の在庫をリアルタイムで一元管理できる可視化システムを構築しており、販売・在庫・出荷の状況を見やすい画面で共有。サプライチェーン全体での在庫の偏りや欠品リスクを抑え、安定した運用を支えています。

また、VMIや在庫連携システムの導入時には、サプライヤーごとに異なるシステム仕様やデータ形式の違いにも柔軟に対応可能です。三協のエンジニアがオーダーメイドでWMSをカスタマイズし、通信インターフェースの差異を吸収することで、販売データや在庫情報などのリアルタイム連携をスムーズに実現します。

そして、こうした仕組みの実効性を支えているのが、誤出荷ゼロ・在庫差異ゼロという実績です。実在庫とシステム在庫が常に一致しているからこそ、VMIや在庫可視化の運用が正確に機能し、サプライチェーン全体の信頼性を高めています。

BCP×医療機器物流

医療機器物流は人の生死に直結するため、一瞬たりとも物流を滞らせるわけにはいきません。そのためには、自然災害時においても活動を継続できる体制が必要不可欠となります。

三協では医療機器物流を展開しているすべての拠点において、２４時間３６５日安定した在庫管理と倉庫運営を展開するため、太陽光発電設備と蓄電設備を用意しており、災害時のＢＣＰ（Business Continuity Planの頭文字をとったもので、日本語では「事業継続計画」のことを指す。）対策を徹底しております。

また、医療機器物流を展開している市町村と災害時における防災協定を締結しており、各自治体の地域防災計画においてもリスクが抑えられた重要な拠点であると評価されております。

さらに、内閣官房 国土強靭化推進室が創設した国土強靭化貢献団体認証制度（レジリエンス認証）において、最高水準であるゴールド認証を取得しています。

この認証は、災害などの緊急時においても事業を継続できる体制を備えた企業に対して与えられるもので、当社では、システムの二重化やデータバックアップ体制の整備、非常時マニュアルの構築など、災害時でもスムーズな在庫管理や入出荷を継続するための取り組みが高く評価されました。

さらに、当社では業務の標準化とスタッフの多能工化を徹底しており、正社員ではなくアルバイトスタッフでオペレーションを完結することが可能です。したがって、入出荷が急増した場合も他の拠点からの応援スタッフで業務を円滑に進めることが可能です。

コロナ禍においても、拠点間での協力により、急激なEC需要やマスク関連の物流スパイクなども含め、すべてのお客様において一日も出荷制限をかけることなく誤出荷ゼロ・未出荷ゼロで対応できております。いくつかの医療機器関連のお客様からも「有事の際でも安心して注文が出来るというブランドイメージの確立に繋がった」と喜びの声を頂戴しています。

取扱い可能な医療機器はクラスⅠからクラスⅣまで

三協は物流倉庫にしては珍しく、「医薬部外品製造業許可」や「高度管理医療機器等販売業・貸与業許可」といった許認可を取得しており、薬機法対応倉庫となっています。