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発送代行とは?EC事業者が 導入必須の理由をわかりやすく解説

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ECの成長とともに、出荷遅延や在庫差異、固定費の肥大化はすぐに利益を圧迫します。そこで注目されるのが「発送代行」。

保管・ピッキング・梱包・配送までを専門業者に委託し、在庫精度と出荷スピードを両立しながら、物流コストを変動費化できます。Amazonや楽天が標準化した即日配送・高品質梱包への期待は年々高まり、中小ECでも自社運用には限界が生じがちです。

本記事では、発送代行の定義と仕組み、導入手順や費用相場など、EC事業者が失敗なく導入するための要点をわかりやすく解説します。

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発送代行について-基本的な知識と仕組み

発送代行サービスの定義と役割


発送代行とは、EC事業者が商品の保管から梱包、配送までの一連の物流発送業務を外部の専門業者に委託するサービスです。

EC事業者は商品の企画・販売に集中し、在庫管理や出荷配送といった一連の物流業務を発送代行サービス会社が担い、物流倉庫を持つ必要なく、人材確保や設備投資の負担を大幅に軽減できるのです。

Amazon Primeに代表される即日配送サービスの普及により、消費者はより高い品質の商品到着が当然のサービスと捉え、発送代行は単なるコスト削減手段ではなく、競争力維持のための必須インフラ投資となっています。

発送代行の外注と配送代行業者の比較と相違点


発送外注と配送代行業者は混同されがちですが、実際には異なるサービス範囲を持ちます。

発送を外注する代行サービスは、主に梱包・出荷作業のみを外部に委託します。EC事業者が自社で在庫を保管し、注文処理システムを管理しながら、出荷作業だけを限定して外部スタッフや業者に依頼する仕組みです。

在庫管理や注文データの連携は事業者側が自ら管理するため、システム統合は比較的に複雑化を防げます。

一方、配送代行業者サービスは、商品の入庫から保管、在庫管理、ピッキング、梱包、出荷、配送手配まで、物流プロセス全般を一括して請負います。返品処理や在庫分析、需要予測といった高度な付加価値サービスを提供する配送業者も増えています。

月間出荷件数が500件以下の小規模事業者であれば発送外注で十分な場合もありますが、1000件を超える中規模以上の事業者には配送代行業者の包括的サービスが適しています。

導入の流れと基本コスト構造について


発送代行の導入は、調査・選定・連携・移管・運用の流れで進みます。まず出荷量や商品特性をもとに複数社から見積もりを取り、コストとサービスを比較。その後、業者と契約し、注文管理システムと物流システムのAPI連携を行います。商品移管と棚卸し、テスト出荷を経て運用開始となります。

費用は、月額基本料(倉庫保管)、従量課金(出荷数)、資材費、初期費用が中心。保管料は坪単価で月3,000~8,000円、出荷料は1件200~500円が目安です。(当社調査)

自社物流と比べ、人件費、倉庫賃料、設備償却費、システム維持費などの面でのコスト削減の総合効果を比較検討することが重要です。

発送代行を利用する営業的メリットとデメリット

運用コスト削減と業務効率化が徹底できる大きなメリット


発送代行の最大の利点は、物流コストを固定費から変動費に変えられる点です。自社で倉庫や人員を持つと、賃料・人件費・設備投資・システム費などが常に発生し、特にEC事業初期や成長期には重い負担となります。

発送代行を利用することで、出荷量に比例した可変コスト支出で済むため固定費負担が変動費化されます。
売上が減れば物流費も下がり、増えたときにも柔軟に必要コストが可変化調整できるため、キャッシュフローが安定します。

具体的な削減効果は事業規模や業者との契約条件によってさまざまになりますが、"倉庫維持費や人件費の大幅な固定負担を避けられる"という最も重要な事業戦略のひとつでもあり、多くの発送代行を導入した事業者さまたちの事例で共通しているメリットです。
加えて、社内リソースを商品開発や顧客対応などコア業務に集中でき、売上と顧客満足度の向上が期待できます。

発送代行を利用するデメリットと注意点


一方で、発送代行にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。これを把握しないうちに導入してしまうと、想定外のコスト増加や顧客満足度の低下を招くリスクがあります。

①固定費を減らせても単価コストが割高になるケース
 発送代行は出荷量に比例する従量課金型が一般的ですが、出荷件数が少ない時期になると、1件あたりの発送コストが自社対応時よりも費用が割高になるケースがあります。 特に小規模事業者や販売開始直後の段階においては、費用対効果の細やかな見極めが必要になります。

②業務のオリジナリティへの制約
 外部業者に委託することになるので、自社独自の梱包仕様や突発的なキャンペーン対応など、自由な裁量での配送対応が制限されることがあります。 形式化されたオペレーションに従う必要があり、オリジナル演出や特別サービスを届けたい事業者にとっては、差別化や区別化をする際の制約となる場合があります。

➂情報伝達の管理とオペレーションの難しさ
 在庫管理や配送状況の把握を外部業者とシステム連携で同期が必要になるため、情報更新の遅延や誤差が生じるリスクがあります。システム連携が不十分だと、在庫切れや配送情報の誤差が生じ、顧客トラブルやクレームにつながる可能性があります。

④顧客対応のアウトソース化による懸念点
 発送遅延や不備、在庫管理上の同期ミスが生じた場合でも、顧客側からはすべて販売元のEC事業者の責任とみなされます。実際は発送代行業者の過失であっても、顧客からの印象は販売元の事業者評価へ直接影響します。外注先に丸投げにせず、配送事故やトラブル発生時の応対フローを販売元事業者自らが整えておく必要があります。

繁忙期の出荷急増でも楽々対応できる


EC事業では繁忙期の出荷急増が大きな課題です。年末年始やセール時には通常の3〜5倍、アパレルなら10倍超の注文が入ることもあります。

自社物流だと臨時スタッフやスペース確保、特別な個別契約が必要で、計画ミスは機会損失やクレーム、コスト増につながります。

発送代行なら実績データをもとに事前準備ができ、複数社対応で稼働ふり幅を吸収できるため安定稼働が可能。適切な業者を選べば、繁忙期でも48時間以内の出荷を維持し、満足度と競争力を高めます。

顧客満足度向上とリピーター獲得を促進できる


EC市場で配送品質は顧客満足に直結します。Amazonの調査では、配送不満が約30%のリピート見送り原因と報告されています。発送代行の専門業者は、商品に合った梱包や破損防止、配送ルートの最適化で品質を大幅に改善します。

都市部の代行業者は主要都市で当日出荷・翌日配送が存在し、顧客の即時ニーズに応えています。自社物流は経験不足で破損リスクが高まりますが、代行はプロの梱包技術で破損率を大幅に抑えられます。

配送品質向上はリピート率アップにつながり、オンタイム配送によりリピート率がおよそ15%向上する傾向があるため、発送代行は高い投資効果を生む可能性があります。
参照元:Repeat Purchase Rate Statistics For eCommerce Stores, 2025年4月

発送代行業界の市場動向と最大の課題

EC市場の拡大と物流需要のトレンド


近年の国内EC市場は、毎年堅調な成長を続け、2023年のBtoC-EC市場は前年から約9%増加し、約24.8兆円に達しました。急成長の背景には、スマートフォンの普及、コロナ禍による外出自粛、消費者の購買行動のデジタルシフトがあります。

特に食品、日用品、医薬品などの日常必需品のEC化率が急速に向上しており、物流業界全体の需要構造を大きく変化させています。

一方、物流業界では、物流15業種にまたがる総市場規模は2024年度に約24.6兆円、前年比5.1%増と回復傾向にあります。
参照元:矢野経済研究所 物流15業種市場に関する調査を実施(2025年)

また、ECと実店舗を連携させるオムニチャネル化が進行中であり、オンライン注文商品を実店舗で受け取るサービスも普及しています。

こうした従来の物流システムの多様な複合的販売チャネル戦略に対応するためには、高度な在庫管理と配送ネットワークを持つ発送代行サービスの存在が重要です。

大阪など都市圏での発送代行の需要と地域差


発送代行サービスの需要は、東京・大阪・名古屋といった大都市圏に集中する傾向があります。

特に大阪圏は、関西全域をカバーする物流拠点としての役割が高まっており、関西国際空港や大阪港をはじめとする国際物流のハブ機能を備えています。また、名神高速道路や中国自動車道などの主要幹線道路が集中していることも、物流効率の向上に寄与しています。

こうした地理的優位性により、関西圏からは周辺地域への短期配送が可能とされており、物流拠点としての利便性が高く評価されています。

また、大阪を中心とする都市圏はおよそ1,000万人以上の人口を抱える日本有数の消費エリアであり、発送代行の拠点としての需要を支えています。

一方で、北海道、東北、山陰、四国、九州南部などの地方部では、大手物流業者のカバー率が限られる地域もあり、地域密着型の中小物流業者が重要な役割を果たしています。

近年では、AIによる需要予測、ドローン配送、自動運転技術の導入検討などの物流テクノロジーが進展しており、今後は地方部でも都市部と同等の配送サービス提供が実現される可能性があります。

業界が直面する人手不足とシステム化の課題


物流業界全体は深刻な人手不足です。厚生労働省の調査によると、特に運輸・郵便業では求人倍率が全国平均を上回る傾向にあります。

特に、配送ドライバーと倉庫作業員の不足は慢性的で、少子化による労働生産人口の低下が状況を悪化させています。

人手不足を解決するため、自動倉庫システム(AS/RS)の導入、ピッキングロボットの活用、AIによる配送ルート最適化、RFIDを活用した在庫管理システムなどの技術導入が加速しています。

しかし、先進技術の導入には多額の初期投資が必要で、従来の労働集約型オペレーションを継続する中小業者と大手企業の事業効率格差が拡大する傾向にあります。

さらに重要な課題として、商品特性、配送エリア、配送時間指定、ギフト包装、同梱物など、EC事業者ごとに物流需要要件が大きく異なるため、オペレーションの効率化を阻害し、コスト増加の要因となっています。

新規参入障壁と競合状況の分析


発送代行業界への新規参入の最も大きな障壁は、物流拠点の確保と初期投資の規模です。
好立地への大型物流センター建設をするには大規模投資が必要で、倉庫管理システム、自動仕分け設備、セキュリティシステムなどの設備投資も膨張します。

また、物流業務には在庫管理、需要予測、配送ルート最適化、トラブル対応など高い専門知識が必要で、経験豊富な専門人材の確保も大きな参入障壁となっています。

現在の業界構造は、大手総合物流業者、専業の発送代行業者、IT系スタートアップ企業の3つの物流事業プレーヤーに大きくわけられます。

近年注目されているIT系スタートアップ企業は、AI・IoT技術を活用し、従来の物流業者とは全く異なるアプローチで効率化を実現し、コストパフォーマンスの高いサービスを提供しています。

ただし、物流需要の多様化はテクノロジーだけでは解決できない課題も多く、持続的な成長には物流業界での高次元の運営力の確率が不可欠です。

発送代行を導入するべきEC事業者とは

年商と規模別にみる物流における課題


EC事業者が発送代行を導入すべきタイミングは、一般的な業界の傾向として年商や出荷件数の増加に応じて発送代行の導入を検討する事業者が多いです。

・スタートアップ期(年商1000万円未満・月100件以下)
経営者自身が発送業務を担うことが多く、導入は時期尚早。ただし、冷凍・大型商品のような特殊配送が必要な場合は、早期に外部委託を検討。

・成長期(年商1000万~5000万円・月300~1000件)
発送業務にまとまった工数がかかるようになり、負担が増大。費用対効果の観点から、発送代行の導入メリットが明確になる段階。

・拡大期(年商5000万円~2億円・月1000~5000件)
自社対応では人件費や倉庫費が膨らみやすく、外注によりコスト削減と業務効率化が期待できる。

・安定期(年商2億円以上)
物流の戦略的な活用フェーズ。物流戦略として複数業者の活用やシステム連携や最適在庫管理によって、利益率の改善と事業拡大を進める事業者も。

中小から大規模までの活用シーン


発送代行の活用は、事業規模や業界特性に応じて大きく異なります。

・中小EC事業者(年商5000万円以下)
保管・梱包・出荷など基本サービスを中心に活用する傾向。
シンプルな出荷作業は標準プランで対応可能で、配送スピードや梱包品質の改善が顧客満足度向上につながります。

・中規模(5000万円~2億円)
同梱やギフト包装、返品処理、在庫分析などの付加価値サービスの需要が増え、柔軟な倉庫対応や季節変動への対応も重要になります。

・大規模(2億円以上)
複数拠点の分散在庫や越境EC、オムニチャネル対応など戦略的な物流体制が必要。専用システムとの連携や独自基準システム構築も一般的です。

業界別では、アパレルは多品種・季節対応、食品・コスメは温度・期限管理など、専門的な個別対応が求められます。

発送代行導入時に判断したいチェックポイント

発送代行を成功させるには、事前準備と業者選定が重要です。

まず、人件費・倉庫・配送・資材などの現行物流コストを定量的に把握し、年間費用を代行業者ごとに料金比較します。繁閑期の差分も考慮します。

次に、出荷精度・配送速度・破損率・顧客対応などのサービス品質を数値化して比較し、候補業者を選定評価します。

一方でシステム連携も重要です。ECや在庫管理システムとのAPI接続可否、連携頻度、障害時対応などリスクコストも可能な限り計上します。

契約条件面では、最低利用期間や解約条件、料金の柔軟性をチェックし、自社事業の成長に対応できるかの経営判断が必要です。

最後に、災害・障害対策、いわゆるBCP対応として、在庫の分散管理や緊急連絡フローが万全であるかも重要な選定基準といえます。

株式会社三協の「物流アウトソーシング」サービス紹介

▼誤出荷ゼロ・在庫差異ゼロ・遅延ゼロ目標を確立できる理由


三協の物流サービスは、誤出荷と在庫差異の防止に徹した独自体制を構築し、高品質な物流を実現しています。

誤出荷ゼロでは、スキャン・重量・目視確認という多段階のチェック体制で実現。梱包前後の検品も徹底し、三協では誤出荷率を0.00005%以下(約200万件に1件)と極めて低い水準値に抑えています。

在庫差異ゼロの実績では、三協の独自WMSの導入により、例えば約4,500 SKU・約38,000 pcsのアパレル在庫では、全体では在庫精度0.00033%未満を達成しています。業務移管時には全数棚卸で在庫差異をゼロリセットし、高精度の在庫管理を継続しています。

遅延ゼロ目標は、高度な業務フローとWMS連携によって、出荷遅延を抑制しています。繁忙期でも安定出荷が可能であり、納期厳守を徹底しています。

▼即日配送と土日祝出荷で楽天「最強配送」へ適応


楽天市場における『最強配送』は、ラベル取得に必要な即日配送・土日祝、365日出荷など高度な発送品質と迅速な対応が求められ、配送サービスの区別化差別化が顕著になります。

三協は『最強配送』ラベルに対応しうる独自サプライチェーンを構築し、土日祝も迅速に出荷対応しています。

即日配送では、平日は14時まで、土日祝は10時までの注文を即日出荷する体制を完備。ピッキング・梱包・出荷を完了する高速オペレーションを標準化しています。

土日祝を含めた365日体制により、三協の物流アウトソーシングなら注文タイミングに左右されない安心で確度高い出荷体制と配送サービスの実現が可能です。