物流代行サービスとは?
利用するメリット・デメリット 業者選びのポイントを解説!

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買い物をインターネットで行うことは今や当たり前となり、物販系分野のネット通販売上は年々向上しています。事実、経済産業省が発表した資料によれば、物販系分野のBtoC-ECの市場規模は、2022年が13兆9,997億円、2023年が14兆6,760億円、そして2024年が15兆2,194億円と右肩上がりに伸びていることがわかります。この傾向は同市場調査の始まった2013年から変わらず続いており、今後も引き続き伸長していくことが予想されます。

参照:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」

 

そんな中、物流が円滑に動いていない企業にとっては、日々増大するネット通販需要に応えることは容易ではありません。一連の物流作業を自社でまかなうには相応のリソースやコストがかかるため、物流代行業者にアウトソーシングするのも1つの方法です。しかし、物流代行の詳細がわからず、なかなか依頼に踏み切れずにいる方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、物流代行を利用することで得られるメリットや注意したいデメリット、業者を選ぶ際のポイントについて詳しく解説していきます。自社の物流業務をアウトソーシングすべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

 
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物流代行とは?

「物流代行」とは、入庫から在庫管理、出荷に至るまで、商品が顧客のもとに届くまでの物流業務を代行してくれるサービスのことです。別の言葉で「物流アウトソーシング」と呼ばれる場合もあります。

 

近年のネット通販市場のニーズ拡大に伴い、物流業務の重要性が高まった結果、自社で担うより専門業者に任せた方が品質面・効率面ともに改善されるケースが多く、物流代行を利用する企業が増えています。
また、保管効率や作業の生産性が改善されることによって物流費を圧縮できるケースも少なくありません。

 

 

 

物流代行で任せられる業務範囲とは?

物流代行で任せられる業務範囲は多岐にわたります。
たとえば、入荷から検品・保管、ピッキングや流通加工、梱包・出荷といった倉庫内作業に加え、運送会社ごとのシステム連携や交渉、さらには受注管理やコールセンター、返品・交換の処理まで委託可能です。

 

依頼する業者によって外交可能な業務範囲も異なります。
①倉庫内の作業までを代行するケース
②運送業者の手配や顧客の手元に荷物が届くまで含めた物流業務全体を代行するケース
③さらに決済業務や受注管理、コールセンターなども含めて対応するケース

 

そのため、自社のニーズに合った代行業者が選べるよう、事前にサービスの詳細を確認しておくことが重要です。

物流の課題とは

物流は、単なる「モノを運ぶ作業」ではありません。輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報という6大機能が連動して初めて成立する仕組みであり、企業のサプライチェーン全体を支える基盤です。

 

しかし近年、この仕組みは急速に複雑化しています。その理由は大きく二つあります。

 

1つ目は、在庫配置の最適化やリアルタイムな情報連携に加え、物流システムと自動倉庫、AGV、自動仕分け機などを連動させて制御する仕組みまで求められるようになり、物流の役割が一段と高度化していることです。

 

2つ目は、オンライン販売の拡大に伴い、小口・多頻度・短納期といったEC特有の要請が増え、従来の仕組みでは対応しきれなくなっていることです。

 

このような背景を踏まえ、代表的な6つの物流課題を取り上げ、それぞれを具体的に見ていきましょう。

① コア業務に集中できない

物流業務では、繁忙期や急な出荷対応の際に他部署からの応援を呼んだり、休日出勤で穴埋めをしたりするケースが少なくありません。特にEC物流では、楽天スーパーセールやAmazonプライムデーといった大型イベントに合わせて土日祝日の出荷対応が求められるため、本来であれば商品開発・品質管理・プロモーション企画・販路開拓・カスタマー対応といったコア業務に注力すべき人材が、現場作業に時間と労力を奪われてしまいます。

 

一時的な対処としては有効でも、この状態が常態化すると、改善のための仕組みづくりや戦略的な物流運営が後回しになり、結果として生産性やサービス品質の向上が阻害されます。さらに、長時間労働や休日出勤が増えることで人材のモチベーション低下や離職リスクにもつながり、持続可能な物流体制の構築を難しくする要因となります。

② 保管スペースの不足

物流業務においては、限られた保管スペースをいかに効率的に活用するかが大きな課題となります。特にEC出荷ではケース単位ではなくバラ出荷が中心となるため、高積みによる保管には限界があります。パートスタッフが安全に作業できる高さまでしか商品を積み上げられないため、どうしても横方向に広がりやすいのです。アパレルのようにカラーバリエーションやサイズ展開が多い業種では、その傾向が顕著です。

 

また、通路を確保しなければピッキング作業が滞るため、単純に空きスペースに商品を詰め込むことはできません。効率的な保管を実現するには、マテハン(マテリアルハンドリング機器)の活用や、ロケーション管理の工夫が不可欠です。さらに、余剰在庫の置き場とピッキングエリアを明確に区分することで、作業効率と在庫精度の両立を図る必要があります。

③ 作業ミスによる生産性や顧客満足度の低下

物流業務における大きな課題のひとつが、作業ミスによる生産性や顧客満足度の低下です。取り扱う商品の種類や数量が増えれば増えるほど、誤出荷・未出荷・出荷作業の遅延などのリスクは高まり、生産性の低下を招くだけでなく、顧客からの信頼を損なう結果につながります。

 

特にEC物流では、SKUの多さやバラ出荷の頻発により作業の複雑性が増し、当日出荷対応も多いため、ミスの発生確率が高まります。出荷ミスはもちろんのこと、在庫管理の精度が不十分で注文後に欠品を通知するような事態になれば、ユーザーからのクレームに直結します。さらにその不満は、楽天やAmazonといったモール上のレビューに書き込まれ、企業の評価を大きく左右しかねません。

④ 人材不足による1人あたりの業務負担の増加

現在、物流業界全体は深刻な人材不足に直面しており、とりわけトラックドライバーの不足は顕著です。厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」によれば、2025年7月時点の自動車運転従事者(ドライバー職)の有効求人倍率は2.58倍に達しており、求人数が求職者数を大きく上回る状況が続いています。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

 

一方で、EC市場は拡大傾向が強く、経済産業省の統計データによると2024年度のBtoC-EC市場規模は約26.1兆円に達し、前年比+5.15%増と成長を続けています。
参考:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」

 

物流現場に流れ込む荷物量は右肩上がりを続ける中、ただでさえ採用が困難なトラックドライバーには「働き方改革関連法」による時間外労働の上限規制(労働基準法改正)が2024年から適用されており、限られた人員で膨大な物量を処理しなければならない状況です。

 

また、物流倉庫スタッフにおいても人材確保は難しくなっています。最低賃金は上昇を続けている一方で、「103万円の壁」「130万円の壁」といった所得制限の基準は長年据え置かれています。そのため、同じ労働時間でも壁を超えやすくなり、働き控えが発生して人員を十分に確保しにくい状況です。さらに、物流倉庫は広大な敷地を要するため郊外に立地するケースが多く、通勤の不便さも採用を難しくする要因となっています。

 

さらに、楽天やAmazonといった主要ECモールは、土日祝の出荷対応を暗黙の前提としています。強制ではないものの、対応を怠ればラベル発行が制限されたり、商品表示の優先順位が下げられるケースがあり、販売機会に不利な影響を受けるため、実質的には対応せざるを得ないのが現実です。働き方改革が進む中で、土日祝に対応できる物流スタッフを安定的に確保することは一層難しくなっており、人材不足の現場ではスタッフ一人ひとりの負担がさらに重くのしかかっています。

⑤ スタッフの人件費や設備費用の増加

物流業務では、スタッフの人件費や設備費用の増加が大きな課題となっています。最低賃金の上昇によって人件費の負担は重くなり、さらに繁忙期に備えて多めに人員を抱えておく必要があるため、固定費の増加を避けられません。

 

また、効率化を目的に導入されるマテハン機器──たとえば高速仕分けを前提とするソーターや、定められた動線を前提としたAGV(無人搬送車)など──には多額の初期投資が伴います。

 

これらは特定の作業設計や規模、商材、販売先の店舗数や納品先の拠点数を前提に設計されるため、需要の変化や販売チャネルの複雑化、販売店舗の増減といった“業務要件の変化”によって、現場に合わなくなり陳腐化してしまうリスクがあります。

さらに、ECではケース単位の大量出荷ではなく小口出荷が中心となるため、個口数の増加によって運送費用も大きく膨らみます。加えて近年は運送コスト自体の上昇も続いており、物流現場では人件費・保管費用・設備費用・輸送費用のすべてが増加傾向にあり、企業の経営を圧迫する要因となっています。

物流代行サービスとは?利用するメリット・デメリット 業者選びのポイントを解説!

⑥ 商品数の増加と販路の多様化にともなう在庫管理の複雑化

物流業務においては、取り扱う商品の種類が増えるほど在庫管理は複雑化します。インテリアや日用品といった小物から大型商品まで多様な商材を扱う場合、保管方法を一律にできず、大型商品はパレットや床置きで下段に配置し、軽量物は棚の上段に収めるなど、大きさや重量に応じたロケーション管理が不可欠となります。

 

アパレルのようにサイズやカラーバリエーションの組み合わせによってSKUが膨大になる業種や、コスメ・医薬品のようにロットや消費期限ごとの管理が必要な業種でも、同様に在庫管理の難易度は高まります。

 

次に、販路の多様化、特にEC物流の拡大によって在庫管理はさらに難しくなっています。ECでは当日出荷対応が前提とされ、正確なピッキングに加えて、納品書やノベルティ・チラシなどの同梱物封入、包装・梱包といった付帯作業も伴います。

 

そのうえ、複数商品をまとめて購入したユーザーからの「同梱処理」依頼や、出荷直前でのキャンセル・配送先変更といった突発的な対応も発生しやすく、在庫データの整合性を保つうえで大きな負担となっています。

 

加えて、季節イベント(母の日やクリスマスなど)や大規模セール(楽天スーパーセール、Amazonプライムセールなど)の有無によって出荷量は大きく変動し、それに対応する在庫管理の難易度も高まります。

 

また、返品が大量に戻ると、タグの付け替えやリバイバル処理が必要となり、再度在庫へ組み込む際に在庫差異が生じやすくなります。

 

さらに、楽天やAmazonといった複数モールでの在庫一元管理や、オムニチャネル化に伴う店舗在庫とのリアルタイム連携も求められており、販路の多様化にともなって在庫管理の複雑化は一層深刻さを増しています。

物流代行を利用するメリット

物流代行サービスを利用することで、ネット通販企業は数多くのメリットを得られます。

ここでは、代表的な8つのメリットについて、確認していきましょう。

メリット①:コア業務に自社リソースをまわせる

物流代行を利用する最大のメリットは、自社リソースをコア業務にまわせる点です。
ネット通販運営において、顧客に届ける商品を扱う物流は確かに重要な業務です。

 

しかし、物流業務はノウハウの蓄積(在庫管理に関する知見や物流システムに関するIT知識など)に膨大な時間が掛かってしまうことに加え、そもそも物流業務がしたくてその企業に入社するという人材も少ないため、自社物流を強化することは構造的に難しいと言えます。

 

逆に、「営業や接客が得意なスタッフ」に本人の希望とは裏腹に物流業務も任せていたためにモチベーションが低下するケースもあります。慢性的な人手不足が叫ばれている昨今において、限られた人的リソースを商品の企画開発、営業、マーケティングなどの「コア業務」に振り向けることは、離職率の防止という観点からもより重要になってきています。

 

たとえば、ネット通販市場が年々拡大する中、今後は顧客との接点を増やすためのオムニチャネルや、個々の顧客の嗜好や需要に合わせたパーソナライズドマーケティングなど、積極的なマーケティング戦略の重要度は高まっています。そのため、自社リソースに余裕がない場合は、物流などのノンコア業務はなるべくアウトソーシングし、自社リソースはできる限りコア業務に注力させるのが得策だといえるでしょう。

メリット②:入出荷のキャパシティを拡大できる

物流代行を利用すると、自社で物流業務を行う場合に比べて、より多くの入出荷件数に対応できるようになります。ネット通販セール(「Qoo10メガ割り」「楽天スーパーSALE」「超PayPay祭」など)、クリスマスイベント、年始の福袋の時期などは、平常時より入出荷件数が大幅に増えるため、自社物流だとキャパシティが足りず、販売機会を逃すことに繋がります。

 

たとえば、セール時に出荷遅延が生じた場合、「待つくらいなら他の店舗で似た商品を購入しよう」というユーザーによる注文後のキャンセルリスクは、遅延した時間に比例して高くなります。さらに、ネット通販モールによっては購入から3日目までに出荷できなかった場合、ペナルティ(該当する商品が1か月間販売できない、モール内のSEOが悪化し、掲載順位が下がってしまうなど)が与えられてしまいます。

 

その点、専門業者に委託しておけば、そのような入出荷の増減にも柔軟な対応が可能です。そのため、売り上げがグッと上がる繁忙期でも制限をかけずに出荷でき、機会損失を極小化できます。また、顧客からの返品や新商品の入荷もスムーズに棚入れできるので、販売開始までのタイムラグを少なくすることが期待できます。

メリット③:物流コストを一元化して「見える化」できる

物流代行を利用すると、物流コストが一元化され、管理しやすくなるというメリットも得られます。

 

自社で物流業務を行う場合、倉庫の家賃やスタッフの人件費といったコストが固定費として発生していますが、その内訳が工程ごとに区分されていないケースが少なくありません。さらに、他部門から応援スタッフが物流業務に従事していることもあり、その分の人件費がどの工程にかかっているのかは、なおのこと見えにくくなってしまいます。

 

結果として「ピッキング」「検品」「梱包」などの作業ごとにどの程度コストが発生しているのか把握できず、コストの妥当性を検証することも難しくなるのです。

 

物流代行を利用すれば、固定費や変動費を含め、すべての物流コストが業者への依頼料として一元化されます。その結果、物流にかかっているコストが明確に「見える化」され、コストごとの正確な値やその変動額を時系列で把握することが可能になります。

 

さらに、実際に使用した保管コストや発生した作業コストを使用して、「売上高物流コスト比率」や「梱包あたり物流コスト」などを算出することにより、保管効率や作業効率の妥当性も検証しやすいと言えます。

メリット④:物流品質が向上する

物流代行を利用すると、自社で行うよりも物流業務の品質を向上させられます。物流を専門としていない企業の場合、慣れない自社人員で物流をまわそうとすると、効率が上がらないばかりか、誤出荷などのヒューマンエラーにも繋がりやすいのが実情です。

 

その一方、代行業者は物流業務のプロフェッショナルなので、自社で行うよりも的確かつスムーズな物流が実現します。また、「商品が丁寧に梱包されている」「ラッピングがきれいに施されている」といった点も、顧客満足度に直結します。

 

株式会社ラクスが2018年に調査した結果によると、ネット通販利用者の65.8%が「梱包やラッピングが丁寧だとリピートや他社への紹介に繋がる」との回答をしています。これら流通加工を丁寧にしてくれる業者に依頼すれば、口コミやレビューでの評価も上がり、多くのリピーターの獲得、LTVの向上に高い効果が期待できます。

メリット⑤:多くのプラットフォームと連携することで
売上機会を最大化できる

物流業務を専門業者にアウトソーシングすると、多くのプラットフォームや販売ツールとのデータ連携ができ、売上機会を拡大できるというメリットも得られます。

 

たとえば、中国向けの「天猫国際」、東南アジア・台湾向けの「Shopee」、アメリカ向けの「eBay」など、海外顧客を相手にする販売プラットフォームを使えば、越境ECにアプローチできるでしょう。

 

また、「Instagram」「Youtube」「SHOPROOM」など、オンラインでありながら密接で双方向コミュニケーションが可能なライブ配信(ライブコマース)ツールを使えば、若い世代を中心に売上機会を広げることも可能です。

 

これらのプラットフォームや販促ツールを使用するためには、自社の在庫データとリアルタイムで連携できる倉庫管理システム(WMS)が必要不可欠です。物流代行業者を選ぶ際は、どのようなWMSを導入しているかを確認し、データ連携に強い物流倉庫で売上機会を最大化していきましょう。

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メリット⑥:在庫保管のための倉庫スペースが不要になる

物流代行サービスを利用すると、自社で在庫を保管するスペースを確保する必要がなくなります。自社で在庫を抱える場合は倉庫や専用の保管場所を固定的に借り上げなければならず、事業が拡大すればさらに広いスペースを探す必要が出てきます。しかも、その際には「在庫が一番多い時期」を基準に賃料を払わなければならないため、実際には使っていない時期まで高い固定費を負担し続けることになります。

 

さらに、取り扱い商材の追加や在庫量の増加に伴って保管スペースを拡張しようとした際に、近隣に適切な倉庫が空いていなければ複数拠点での管理を余儀なくされます。その場合、在庫移動や拠点間の調整が必要になり、運用は一気に煩雑化してしまいます。

 

物流代行サービスを活用すれば、こうした「スペース確保」や「固定費負担」「拠点分散」といった問題から解放され、安定した在庫管理を一元的に任せることができます。
また、物流のプロはロケーション管理のノウハウに加え、可動式ラックやネステナー、カゴ台車といったマテハン機器を駆使し、保管スペースを最小限に抑えながら効率的な在庫管理を実現してくれるでしょう。

物流代行サービスとは? 利用するメリット・デメリット 業者選びのポイントを解説!

メリット⑦:物流コストの変動費化と削減

自社で物流を運営する場合、繁忙期の作業量に合わせて人員を確保し、在庫が多い時期に対応できる倉庫スペースを用意する必要があります。そのため、閑散期であっても人件費や倉庫賃料といった固定費が発生し、無駄なコストが生じやすくなります。

 

物流代行サービスを利用すれば、出荷量や在庫量に応じて人員やスペースを柔軟に調整でき、固定費を抱えることなく変動費化が可能です。繁忙期には必要な分だけ作業量を増やし、閑散期には稼働を抑えることができるほか、在庫量に応じて保管スペースも変動費として調整できるため、事業の変動に合わせた効率的なコスト管理が実現します。

 

また、物流企業は専門的な知識とノウハウを備えており、自社であれば5人のスタッフを必要とする業務を、物流代行業者であれば3人で対応できるといった具合に、より少ない人員で同等以上の成果を実現できる仕組みが整っています。外注である以上、物流企業の利益は加算されますが、それを上回る効率化によって、トータルの人件費を抑えることが可能です。

 

さらに、物流企業は複数荷主の業務を引き受けているため、スケールメリットを活かして運送コストや資材価格を有利に交渉できます。その上、フォークリフトや仕分け機といったマテハン機器を共有することで、設備投資の負担も大幅に軽減できます。

 

このように物流代行を活用すれば、人件費・倉庫費用・設備投資費用に加えて、運送コストや資材価格といった調達コストの削減も期待でき、繁忙期・閑散期に応じた柔軟なコスト管理が可能となります。結果として、物流全体の効率化と経営資源の有効活用につながるのです。

物流代行サービスとは? 利用するメリット・デメリット 業者選びのポイントを解説!

メリット⑧:リードタイムの短縮

物流代行業者は、商品の保管から配送までを一貫して担い、ロケーション管理や倉庫内オペレーションなどの専門的な仕組みとノウハウによって、リードタイムを短縮することができます。

 

特に、倉庫管理システム(WMS)と販売管理・在庫管理などの基幹系システムをシームレスに連携させることで、受注から在庫引き当て・出荷指示までをリアルタイムに処理でき、リードタイムをさらに短縮できます。ネクストエンジンやクロスモールといったOMS(受注管理システム)をWMSとAPI連携させることも、リードタイム圧縮に有効な手立てです。

 

特にEC販売においては、配送スピードが事業成否を左右します。出荷が遅れればキャンセル率が上がるだけでなく、ECモールからの評価低下や顧客の口コミに直結します。
2024年に米国で実施された調査でも、消費者の約4分の1が「配送スピードが最重要である」と回答しており、配送の速さは消費者ニーズとして非常に高いことが示されています。
参考:Digital Commerce 360(米国最大級のEC専門メディア)
「Free and fast shipping remain consumers’ top delivery priorities in 2024」

 

システム連携に強い物流代行を活用することで、スピード感のある対応を実現でき、リピーターの獲得や売上拡大につなげることが可能になるでしょう。

物流代行で気をつけたいデメリット

このように、物流代行サービスを利用すると多くのメリットが得られますが、業者選びの際に注意しないと、かえってデメリットに繋がる可能性もあります。

特に注意すべきデメリットを4点確認していきましょう。

デメリット①:物流フローにおいて、柔軟な対応が難しくなるリスクがある

物流代行サービスは、コスト削減や効率化を目的として導入されることが多く、マニュアルに基づいた定型業務で高い再現性とスピードを実現します。しかしその一方で、柔軟な対応が難しくなるという側面もあります。

たとえば、締め時間を過ぎた出荷依頼、土日祝日の出荷対応、別注文との同梱、決済方法や配送先の変更など、日常的に発生する“アナログ的なイレギュラー対応”は、代行先では標準フロー外の作業となるため、対応できない場合があります。

自社運用時には、担当者が商品知識や顧客特性を理解していたからこそ、現場判断で臨機応変に動けた内容が、外部委託によって「できない」業務に変わってしまうことも少なくありません。

また、予定外の入荷や、急遽決定したセール対応なども、物流代行では柔軟なリソース配分が難しい領域です。社内では「今日だけ出荷ラインを増やす」「担当者を一時的に振り分ける」といった即応が可能だったのに対し、代行先では契約範囲外として翌営業日対応になるケースもあります。

実際に、当社のお客様から「楽天スーパーセール中に売上を伸ばすための施策を代行業者に依頼したものの、結局セール期間中に間に合わなかった」という声をいただいたこともあります。こうした対応の遅れが、結果として販売機会の損失につながってしまうのです。

さらに、ブランドや商品の世界観を重視する企業では、梱包材の指定やメッセージカードの封入、商品仕様に合わせた検品など、細かなこだわりを求めるケースもあります。

しかし、物流代行は基本的に標準化・自動化された仕組みで運用されているため、こうした個別要望に柔軟に対応できる体制を持つ会社は限られています。

臨機応変な物流対応は、単なる出荷作業ではなく営業活動の一端であり、顧客満足度を支える重要な要素です。外部委託によって臨機応変な物流対応ができなくなり、顧客満足度を下げてしまっては本末転倒です。

だからこそ、自社の求めるサービス水準を正確に伝え、それ以上のことを実現できる物流会社を選定することが、安定した運用への第一歩となります。

デメリット②:想定外のコストがかかる可能性がある

物流業務をアウトソーシングすると、コストを変動費化できるので、物流にかかるコストが圧縮される可能性が高いです。しかし、事前に念入りなヒアリングをしていないと後から保管坪数が余分に必要となったり、チェック項目が多くなることで検品コストが予定外に膨らんでしまうなど、結果的に自社で行うより費用がかさむ危険性があります。

 

そのため、物流代行を利用する際は必ず複数社から見積もりを取ったうえで、事前に丁寧なヒアリングをしてくれる業者を選びましょう。物流現場に足を運んでもらい、将来的な販売戦略や物量の予測などを踏まえて、しっかり話し合いをしておくことで、先々のコスト増大リスクを最小化できます。

デメリット③:自社にノウハウが蓄積されにくい

物流代行を利用すると、自社に物流ノウハウが蓄積されにくいというデメリットもあります。経営方針として、「完全に物流を外注化する」という方向性であれば問題ありませんが、自社物流に戻す可能性がある場合は注意が必要です。

 

しかし、物流代行を利用していても、工夫次第で自社に業務フローや業務マニュアルなどの物流ノウハウを蓄積させることは可能です。たとえば、物流代行業者とのコミュニケーションを定期的に確保したり、代行業者が提供する倉庫管理システムを活用し、入出荷データの収集・分析を行うなどが効果的です。

 

特に、誤出荷率や在庫差異率などの品質に加えて、ピッキングや出荷検品の生産性に関する数値目標を定量的に定め、モニタリングを行いましょう。さらに、誤出荷や在庫差異が仮に発生した場合、どのような要因から発生に至ったかについて、詳細な報告書を必ず徴収し、自社内でもその妥当性について検証することが非常に重要です。

デメリット④:情報管理に注意が必要

物流代行を利用すると、代行業者に顧客情報などを共有することになります。そのため、情報管理に注意しないと、顧客情報が漏洩するなどのトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

 

情報管理の大切さは今や周知のことですが、自社でどんなに入念な情報管理をしていても、代行業者のミスで漏洩してしまえば、それは自社の責任問題に繋がります。そのため、物流代行を利用する際は、顧客情報へのアクセス権限の所在やUSBメモリ等の取り扱い状況など、情報管理体制の詳細をあらかじめ確認しておきましょう。

 

また、個人情報保護に関する第三者認証制度であるプライバシーマークを取得しているかどうかも、よい判断基準になります。情報漏えいインシデントは企業が培ってきた信用の失墜を招くため、絶対に避けるべきなのは間違いありません。情報管理体制がしっかり敷かれた業者を選び、漏洩リスクを最小限に抑えましょう。

物流代行で失敗しないためのポイント

物流代行を利用する際は、ここまで見てきたメリットを最大化し、デメリットを最小化するための業者選びが重要です。

ここでは、物流代行で失敗しないため、業者を選定する際に意識したいポイントを3点確認していきましょう。

ポイント①:"ピカピカに磨いた革靴”のようなシステムのカスタマイズが続けられるか

ひとくちに物流といっても、商材や販売チャネルの違いによって、企業ごとに最適な物流は異なってきます。そのため、物流代行を利用する際は、自社の物流業務の流れにマッチするよう、システムをカスタマイズできるかどうかを確認することが重要です。

 

また、最適なシステムというのは一度決まれば変わらないものではなく、市場の動きや顧客ニーズの変化などにより、日々変わっていきます。

 

たとえば、
「新しく量販店と取引を開始する」
「製造工場を変更する」
「SKUを大幅に増やす」
「越境ECをはじめる」など、
経営環境は日々変わり続けるといっても過言ではありません。

 

そのため、変化の激しい中で常に最適な物流体制が整うよう、柔軟なカスタマイズができる業者が望ましいといえるでしょう。綺麗に手入れされた靴のように、システムのカスタマイズもずっと磨き続ける必要があるといえます。

 

三協では物流に特化したエンジニアが多数在籍しており、システムの改良に取り組んでおります。お客様からの追加オーダー(新しい機能や画面改修)に加え、そのシステムを実際に使用する数百人の現場スタッフから日々上がってくる改善要望(画面が見づらい、間違えやすい、操作しづらいなど)を吸い上げ、整合性を取りながらどんどんシステムに取り込んでいます。

 

当社のシステムカスタマイズは年間300件超にのぼっており、常にアップデートされたシステムをお客様へ提供しています。

ポイント②:充分な資格や実績があるか

物流代行の業者を選ぶ際は、充分な実績があるかどうかも必ず確認しましょう。実績が豊富ということは、それだけ他の企業に評価されてきた証拠です。もちろん、実績が少ない中にも信頼できる業者がいる可能性はありますが、実績豊富な方が低リスクなのは間違いありません。

 

また、実績を確認する際は、
「自社と似た商材の取り扱い実績」
「同じ百貨店や量販店などでの納品実績」
「利用している基幹システムとの連携実績」なども確認しておきましょう。

 

 

その他にも、食料品や化粧品を扱うなら、
「温度管理のモニタリング状況や先入れ先出しのロット管理をどの程度徹底しているか」
「倉庫管理に必要な許可証を持っているか」などの確認も重要です。

 

三協では現在、現在100社弱(医療機器・化粧品・靴・スポーツウェア・酒・食品など)の取引企業様がいらっしゃり、その業態もSPA、メーカー、問屋、小売店など多岐に亘ります。世界的に有名なアパレル企業様や化粧品企業様ともお取引をさせていただいております。無料の倉庫見学会なども開催しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

ポイント③:誤出荷を防ぐ対策が取られているか

物流代行業者を選定する際は、誤出荷を防ぐための対策が取られているかどうか、入念に確認しましょう。物流業務をアウトソーシングすれば、物流の効率はほぼ間違いなく向上します。しかし、どんなに効率が向上したところで、誤出荷が発生してしまえば意味がありません。

 

誤出荷率が高いと、顧客満足度が下がり、クレーム発生の原因にもなります。そのため、物流代行を依頼する際は、限りなく誤出荷率をゼロに近づけている業者を選ぶことが大切です。

 

手前味噌ではありますが、三協の物流代行における誤出荷率は0.3PPM(2024年末時点)、すなわち300万件に1件(0.00003%)以下の誤出荷率となっております。

 

なお、300万件に1件のミスには入出荷データを頂戴できず、弊社の倉庫管理システムでの制御がかけられない企業様の数値含まれており、弊社のWMSでデジタル管理を行っているお客様についての出荷精度はさらに高い結果となっております。

 

三協に物流代行をした結果、在庫差異がほぼ出ないため、月次の棚卸や販売店側での確認作業(従来は店舗スタッフが適正な数量かを開店前に確認していた)をすべて無くしたというお客様もいらっしゃいます。

【まとめ】物流代行を利用して、EC事業を効率化しましょう

今回は、物流業務を効率化する手段である「物流代行」について、利用するメリットやデメリット、業者選定の際のポイントなどを詳しく確認してきました。ネット通販市場の物販需要は年々増加しており、物流業務の負担も今後さらに増えていくことが予想されます。

 

また、先進的なECプラットフォームや販促支援ツールもますます開発されるため、そのツールを物流側とスムーズにリンクさせるためのソフトウェアやシステムに関する知見やノウハウもこれまで以上に求められていきます。そのため、ネット通販事業の業績アップを図るのであれば、信頼できる業者に物流業務をアウトソーシングするのがおすすめです。