スポーツ用品の物流における課題とは?
改善ポイントを徹底解説!

スポーツ用品物流における課題とは?具体的な改善ポイントを詳しく解説

近年では、オリンピックやワールドカップなどの国際大会への関心が高まり、スポーツの人気が再燃しているかに見えます。

しかし、日本におけるスポーツ人口自体は、少子高齢化などの影響で減少していて、スポーツ用品の市場規模もそれに比例して縮小傾向にあります。そのため、スポーツ用品業界での利益を確保するためには、必須業務である物流の効率化や低コスト化が重要です。

そこで今回の記事では、スポーツ用品に特徴的な物流の課題を確認し、それらを改善するためのポイントについて、詳しく解説していきます。

スポーツ用品物流に関する悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

スポーツ用品物流が直面する課題とは?

スポーツ用品の物流問題を改善するためには、まずそこで生じている課題を明らかにすることが重要です。

ここでは、具体的な7つの課題を確認していきましょう。

スポーツ用品物流の課題人出不足

スポーツ用品物流の課題①:人手不足

人手不足は物流業界全体を貫く課題ですが、スポーツ用品物流ではその傾向が特に顕著です。その背景には様々な要因が考えられますが、特に影響が大きいものとして「労働環境の過酷さ」が挙げられます。

一括りにスポーツ用品といってもその種類は多岐にわたり、中にはトレーニングマシーンやダンベルなど、大型のものや重量の大きいものも多く存在します。それらを人手で積み下ろしたりピッキングしたりするとなると、相応の労力が必要とされ、その過酷さゆえに人材が集まりにくくなってしまいます。

そのため、スポーツ用品物流を改善させていくには、労働環境の改善を図るため、人の手を省く手段の導入が急務だといえるでしょう。

スポーツ用品物流の課題 物流コストの上昇

スポーツ用品物流の課題②:物流コストの上昇

スポーツ用品は、物流コストが上昇しやすい点も課題として挙げられます。

スポーツ用品には大型や長尺のもの、重量の大きいものが多く存在しますので、一般的な商品よりも1点ごとの輸送費が高くなります。また、通常の段ボールに入らないものは専用の梱包箱が必要となりますので、そのための費用もかかります。

それに加え、スポーツ用品は大型から小型まで、様々な大きさの商品が混在しています。そのため、ピッキングにも多くの手間がかかり、専門知識のある人材を使うとなると、人件費もかさんでしまうでしょう。

スポーツ用品物流における課題 誤ピック、誤出荷が発生しや水

スポーツ用品物流の課題③:誤ピック、誤出荷が発生しやすい

スポーツ用品は競技種目によって仕様がバラバラであり、種類が多岐にわたります。

更に、同じ種目でも競技場やグラウンドによって使用するパーツが変わることがあります。例えば、陸上競技場のトラックがゴムか、土か、人工芝かなどで選手はシューズのスパイクを変えて、最適な状態で競技に挑めるようにします。そのため、スポーツ用品は品目が多くなり、倉庫作業におけるピッキング作業や、出荷時のミスなどが発生しやすい点が課題として挙げられます。

近年のEC需要の増加を背景に、スポーツ用品の需要はさらに細分化されてきています。その結果、多品種少量生産が基本となり、同じ倉庫内で膨大なSKUを同時に扱うことが常態化しています。

その結果、他の業態に比べて、スポーツ用品の物流作業は確認すべき項目が多く、誤ピック・誤出荷などのミスを誘発しやすくなっています。そして、人の手で作業を行う限りミスは無くならず、かつ人員の作業負担も増加するという悪循環が生まれてしまいます。

このような現状を変えるためには、検品やピッキングにおける省人化を実現し、より効率的かつ正確な作業を実現するための施策が必要だといえるでしょう。

スポーツ用品物流の課題 入荷日がズレやすく、短納期での作業になりやすい

スポーツ用品物流の課題④:入荷日がズレやすく、短納期での作業になりやすい

先述の通り、近年のスポーツ用品は多品種少量生産が当たり前となっています。その結果、生産コストを削減して利益を高めるために、多くのメーカーがアジアを中心とした海外に生産拠点を移しています。

輸入品はどうしても、入荷日がなかなか確定しなかったり、入荷予定と実際の入荷日にズレが生じやすいです。その皺寄せとして、倉庫に着荷してから取引先・顧客のもとへ発送するまでの時間が短くなり、短納期での急な作業が発生しやすくなります。その結果、短納期での物流業務が常態化すると、作業員の労働環境が悪化するとともに、作業品質も低下してしまいます。

とはいえ、海外生産が中心であることは変えられないので、納期のズレもある程度許容して作業を進めざるを得ません。そうなると、短納期の作業でも負担がかからず、安定した作業効率を担保できるよう、システムやIT技術によるサポート体制を整える必要があるでしょう。

スポーツ用品物流の課題 取引先ごとの独自のルール

スポーツ用品物流の課題⑤:取引先ごとの独自ルールの発生

スポーツ用品には、大規模の総合スポーツ店なのか、個人で経営するような小規模の専門店なのかなど、取引先に応じてルールが変化しやすいという特徴があります。たとえば、専用の値札付けだったり、商品の外装にラベルを貼り付けたりなど、取引先に応じて出荷の都度対策が求められます。

また、各社で商品のデータフォーマットがバラバラだったり、データ連携されておらず手入力が残ってしまったりと、本来やり取りをスムーズにするはずのEDI処理にも手間がかかり、なかなか業務の効率化を図れなくなってしまいます。

 

また、店舗やメーカーによってはゴルフクラブやテニスのラケットなど試打用に貸し出すこともあり、出荷に加えて返品の管理も発生します。更に返却された商品を次の貸出商品として再利用するなど、商品の動きが煩雑になります。

 

そのため、スポーツ用品の物流業務を効率化させるためには、取引先ごとのルールの違いなどを踏まえ、柔軟かつ正確に一元管理できるシステムの導入が必要です。

スポーツ用品物流の課題 季節性による需要変動

スポーツ用品物流の課題⑥:季節性による需要変動

スポーツ用品は、季節によって競技種目ごとの需要に変動が生じやすい点も注意しておかなければなりません。

たとえば、冬季スポーツ用品は夏季には需要が減り、反対に夏季スポーツ用品は冬季にはほとんど稼働しなくなります。また、スポーツ用品と学校の部活の関連性も高く、新入部員が入る3~4月や、体育祭が多く催される9~10月ごろは需要が一気に伸び、平常時の数倍以上の物量が動きます。

そのため、季節性による需要変動を掴み損ねて在庫管理に失敗すると、需要に追いつけず売り逃しが発生したり、在庫過剰になって倉庫スペースを圧迫しやすくなります。

スポーツ用品の需要と季節性は切っても切れない関係にあるので、前年までの商品動向などのデータを踏まえ、適切な在庫管理が行える体制を整えることが重要です。

スポーツ用品物流の課題 作業の属人化

スポーツ用品物流の課題⑦:作業の属人化

以上6つの課題が絡み合った結果、スポーツ用品の物流作業には練度の高い人材が求められ、特定の作業員にしかできないという属人化が発生しやすくなります。

業務をこなせる優秀な人材がいる間は問題ありませんが、その人材が異動したり退職したりした場合は、穴を埋めるまでに時間やリソースがかかり、その間は作業効率が著しく低下してしまいます。

そのため、スポーツ用品の物流業務を常に安定した状態に保つためには、マニュアルを整備したりシステム管理をするなど、なるべく業務を属人化させないような工夫が必要です。

それでは以上7つの課題を踏まえたうえで、次の見出しでは、スポーツ用品の物流業務における具体的な改善策を確認していきましょう。

スポーツ用品の物流を改善するポイントとは?

スポーツ用品の物流を改善させるためには、ロボットやバーコード、システムなど、物流作業に人力以外の要素を導入することが効果的です。

ここでは、具体的な実施ポイントを4つに分けて確認していきましょう。

倉庫管理システムWMSの導入

ポイント①:倉庫管理システム(WMS)の導入

倉庫内にある様々な種類のスポーツ用品を一元管理するには、「倉庫管理システム(WMS)」の導入が効果的です。

WMSとは、在庫のロケーション管理から入出荷の管理、棚卸のデータ連携に至るまで、倉庫業務の効率化を実現させるためのシステムです。WMSでの在庫情報と取引情報を連携させることで、正確な在庫管理が可能となります。

また、WMSをEDI連携することにより、入荷予定や注文情報などを自動的に反映させられますので、正確かつスピーディーなピッキングが実現します。

商品のバーコード管理によるピッキングの効率化

ポイント②:商品のバーコード管理によるピッキングの効率化

スポーツ用品の物流において、商品のピッキングは完全に自動化するのが難しい作業です。しかし、商品をバーコードで管理すれば、ピッキングにおける作業員の負担を大きく減らすことができます。また、ピッキングの正確性も格段に増しますので、誤出荷の発生率が減り、短納期の作業であっても品質の高い業務が実現します。

それに加えて、ユニフォームのネーム加工やスタジアムへの出荷など、スポーツ用品特有の物流においても、バーコード管理を徹底することで精緻な管理を行えるようになります。

ロボット導入による積み上げ、搬送作業の自動化

ポイント③:ロボット導入による積み上げ・搬送作業の自動化

スポーツ用品は大型や長尺のもの、重量の大きいものが多いため、積み上げや搬送に伴う労力が非常に大きいです。そのため、搬送ロボットを導入してこれら作業を自動化できれば、作業員の負担が大きく減少し、物流効率の向上が実現します。

また、積み上げや搬送は庫内作業の過酷さも象徴していて、これらを理由に離職する人も少なくありません。しかし、ロボットによる作業の自動化が実現すれば、労働環境が改善され、人材の確保もしやすくなることが期待できます。

ノウハウをアウトソージングする

ポイント④:ノウハウを持つ業者にアウトソーシングする

スポーツ用品の物流業務を手早く効率化させたいのであれば、専門業者にアウトソーシングするのも手段のひとつです。

物流業務を専門業者に委託すれば、物流品質が向上するだけでなく、自社リソースに空きが生まれるため、その分を商品開発などのコア業務に注力させられます。また、人手不足や作業の属人化など、業務の過程で発生してくる問題を自社で抱えなくて済む点も、アウトソーシングで得られる大きなメリットでしょう。

ただし、スポーツ用品は個々の商品価値が高いものが多く、顧客にはアスリートやチームなど、品質に厳しい方が多いため、物流業務をアウトソーシングする際は、物流の効率だけでなく品質の高さも追求している、信頼できる業者を選ぶ必要があります。

【まとめ】スポーツ用品の物流を改善して利益の最大化を目指しましょう

今回は、スポーツ用品の物流における具体的な課題と、それを改善させるためのポイントについて、詳しく確認してきました。

スポーツ用品は多品種少量生産で、一般的な商品に比べて注意点が多く、人手不足や作業の属人化が生じやすいです。そのため、WMSやバーコード管理の導入、ロボットによる自動化、専門業者へのアウトソーシングなどで作業を効率化・高品質化させることが、業績アップには不可欠だといえます。

今回ご紹介したことを参考に、自社のスポーツ用品の物流を見直し、利益の最大化を目指していきましょう。

三協ではスポーツ用品の物流をはじめ、様々な業種のEC物流、D2C物流のアウトソーシングに対応しております。物流に関するお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

物流アウトソーシングについてはこちら

 

関連記事

物流コストを削減する倉庫管理システム(WMS)の活用方法

物流アウトソーシングとは?メリットや失敗しないための業者の選び方を徹底解説