選択バイアスが潜む倉庫ーー表に出てこない厄介なミス
こんにちは。
株式会社三協の山田です。
本日も、無事にすべての出荷を完了いたしました。
日曜日でさらに猛暑でしたが、現場スタッフの皆さんの頑張りによって、
今日も滞りなく出荷対応を行うことができました。
土曜・日曜・祝日も出荷可能な物流センターに、若干の空きがございます。
「長期休暇中の出荷がネック」
「セール期間中に出荷が止められない」
といったお悩みの際はぜひお気軽にご相談ください。
また、
・楽天の「最強翌日配送」
・Amazonの「マケプレプライム」
・Yahoo!ショッピングの「優良配送」
など、
モールごとの配送ラベル獲得に向けた物流構築もお任せください。
今回のメルマガでは、
「選択バイアスが潜む倉庫」というお話をお届けします。
「記録に残らないミス」が、倉庫の精度を下げているかもしれません。
倉庫内で発生するヒューマンエラーには、大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは、明確に可視化されるミスです。
たとえば「誤ピックして検品時に発覚する」ようなケースは、
エラーとして記録され、原因分析が行われ、改善の対象になります。
そしてもうひとつは、表に出てこない厄介なミスです。
たとえば、作業者が誤って違うロケーションに向かったものの、
棚の商品が違うことに気づいて正しいロケーションに戻った場合など、
出荷ミスには至らず、記録にも残らない“未然の挙動”となります。
今回は、後者の「表に出てこないミス」に焦点を当てたいと思います。
結果的に誤出荷は防げたとしても、
ミスは確かにそこに“起きていた”のです。
このような「結果として問題が起きなかった」行動は、
現場の中では“なかったこと”として処理されがちです。
しかし実際には、
ロケーション設計や表示方法に根本的な課題があるサインかもしれません。
これはロケーション間違いだけでなく、
「外見が似ている別の商品をピックしそうになり、
ラベルや品番を見て途中で気づいて戻す」
「出荷指示や伝票の読み方に自信が持てず、何度も戻って確認する」
といったように、
さまざまな場面で“ミスにならなかったミス”は発生しています。
ここで思い出したいのが、
第二次世界大戦中の数学者、エイブラハム・ウォールドの話です。
アメリカやイギリスなどの連合軍は、帰還した爆撃機の被弾データをもとに、
「よく弾が当たっている箇所を補強すべき」と考えました。
しかしウォールドはこう指摘します。
「そのデータは、生還した機体のものに過ぎない。
本当に見るべきなのは、帰ってこなかった機体に何が起きたのかだ。」
つまり、「見えているデータ」だけでは、
本質的な対策を見誤るという警鐘です。
これは「選択バイアス」と呼ばれ、
現代の統計学や意思決定の分野でも広く知られる概念です。
倉庫でも、まったく同じことが起きています。
記録されたミスだけに目を向けていると、
“帰還できた爆撃機”ばかりを見ているのと同じです。
本当に改善すべき部分は、エラーとして記録されていない現場の挙動の中にあります。
「間違えそうになったけど、たまたま気づいて問題にならなかった」
「迷いながらも、何とかピックできた」
こうした“ミス未満の兆候”が積み重なるほど、
現場のストレスや品質リスクは、静かに高まっていきます。
三協では、こうした“見えないエラー”にこそ注目しています。
まず、現場での“気づかれにくいミス”や“ヒヤリとした挙動”を検知・記録できる仕掛けを各所に設けています。
こうした“ミスにならなかったミス”を見える化することで、現場の本当の課題が浮き彫りになります。